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落陽迎えるジャニーズ 井ノ原快彦が次期社長になるべきただひとつの理由

2023年09月16日 23:51  Techinsight Japan

Techinsight Japan

ジャニーズ事務所の舵を取るのは東山紀之ではなかった?(画像は『Google Earth (C)2023 Google』のスクリーンショット)
ジャニーズ事務所の新社長に就任した東山紀之。9月7日に行われた故・ジャニー喜多川氏による性加害疑惑を巡る記者会見では、性加害があった事実を認め「鬼畜の所業」と批判した。張り詰めた空気が流れる中、冷静に分りやすい受け答えをしたのがジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦だった。井ノ原は、被害に遭ったタレントたちだけでなく、現在自分が担当しているジャニーズJr.に対しても配慮を忘れず、事務所の「風通し」にこだわった。会見以降、存在感を増した井ノ原について、ジャニーズの次期社長として可能性を示唆する声も聞かれる。そうなると、気になるのが「ジャニーズ女子部発足」発言だ。

フリーアナウンサーの高橋真麻は10日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、ジャニーズ事務所が東山紀之を新社長に据えたことについて「果たして風通しはよくなるのか」と首をかしげた。

東山紀之はジャニー喜多川一族と血縁関係こそないものの、ジャニーズ事務所の「長男」と呼ばれる。当然、他のタレントからすると「雲上人」のような存在だ。高橋真麻でなくとも通常、創業家の「身内」が新社長になって、会社の体制がガラッと変わり、ましてや社内の「風通しが良くなる」など期待すべくもない。

井ノ原快彦は先日の会見で、自分がジャニーズ事務所に入った頃は「性加害疑惑」について噂があったのは知っていたが、自身はまだ子どもで「踊りが上手くなりたい」、「デビューしたい」という思いの方が強かったと吐露した。当時は「なんだか得体の知れない、それには触れてはいけない空気」があって、被害者たちが相談できるような状況ではなく、告白が今になってしまったのではないかとまで踏み込んだ。

現在はジャニーズアイランドの社長として200人のジャニーズJr.を預っており、6歳のメンバーもいる。お互い必死に応援し合って、わずか3か月で踊りが上達していく子どもたちの頑張りを見ると「やっぱり裏切れない」、「同じような思いをさせたくない」と痛感したという。「僕は性加害はしませんが、権力を持ってしまうことはあり得る話です」と自戒する井ノ原。自分や自分の部下が過分な権力を持ち、それを私利私欲のために悪用しない仕組み構築すべく、常に話し合っているそうだ。

まだ会見を行う前、8月11日放送の『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)に“トニセン”こと20th Centuryがゲスト出演した時のことだ。井ノ原快彦は社長としてジャニーズJr.の名前を200名全員覚えていると明かして驚かせた。長野博は井ノ原がタレントとして仕事している合間に、いつも携帯で返信しているのを見て「本当に大変だな」と舌を巻いた。井ノ原によると、ジャニーズJr.で高校生になったばかりの子から「髪染めたいんですけど?」と相談されて「高校のイメージ的によくないんじゃないの」と言い聞かせたという。直接相談できる関係からも、井ノ原体制の風通しの良さが垣間見える。

そんな井ノ原快彦は、『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)でMCを務めている。8月26日の放送でアシスタントの片渕茜アナウンサーが「ダンスをやっていた」と話したところ、「踊れるんだ」と食いついた井ノ原。「ジャニーズは今のところ女子いないから、女子部門…」とほのめかして、ゲスト出演していた後輩の浮所飛貴(ジャニーズJr.内のグループ・美 少年)を「社長、社長」、「飛びぬけた発言しすぎです!」と慌てさせた。井ノ原は「今までやってないこと、何かないかな」といつも考えていることを明かして笑っていたが、ジャニーズ事務所にもかつては複数の女性タレントが所属していた。「ジャニーズ女子部発足」を発想したセンスも、次期社長に必要な資質の一つかもしれない。だがしかし、ジャニーズ事務所の社長としてその務めを果たせるのは井ノ原しかいない、と言えるただ一つの理由は別にある。

テレビ東京公式ホームページで9月14日に配信した「ジャニーズ事務所への申し入れ」の中で、「同族会社からの脱皮や経営の透明性向上などにより経営ガバナンスの強化を明確に進めるとともに、ジャニー喜多川元社長による性被害者への補償を早期に実現するよう求めました」としたうえで、「既存番組の出演者など契約済みのタレント起用を除き、10月の新体制発足で具体的な成果を得られたと確認できるまでは、ジャニーズ事務所への新規の出演依頼は極めて慎重に判断する方針です」と説明した。

件の9月7日の会見に話を戻そう。人が発する言葉には、時にその人の真の姿が残酷なほど明確に現れる。会見場で東山は、自身も性加害の当事者ではないかと記者から問われた際、「(性加害は)したことがない」と2回断言している(のちに「覚えていないことが多い、している可能性ある」と発言を修正)。これに対し、井ノ原は「僕は性加害はしません」と答えている。

「したことがない」
「僕はしません」

この二つの言葉の違いはあまりに大きい。本人曰く「若気の至り」とはいえ、東山は自身の持つ「欲」に勝つことができなかった。それに対し、井ノ原は人間の誰しもが持つ己の「欲」と「弱さ」が引き起こす「業」の存在を認めた上で、自分は「欲」に負けることを「しません」と宣言しているのだ。

己の持つ「欲」の存在とそれに負けることによって引き起こされる惨劇を想像すらできなかった人間たちによって、ジャニーズ事務所の「鬼畜の所業」は繰り返されてきた。

「欲」に負けた人間、「欲」とは誰しもが持つものと認めた上でそれに負けまいとする人間。両者の真の姿を垣間見た時、そう遠くない未来、いつか名を失うかもしれないジャニーズ事務所の膿を出し切り、舵を取っていける人間は井ノ原快彦だと考えざるを得ないのだ。

画像は『Google Earth (C)2023 Google』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)