トヨタ・モータースポーツGmbH(TMG)の副社長で、WEC世界耐久選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racingのディレクターも務めるロブ・ルーペンは、WECと並行してIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でのプログラムを実施することが大幅なコスト削減に役立つと語った。
ルーペンは、トヨタが2020/21年シーズンのWECに投入するLMHル・マン・ハイパーカーが北米のIMSAシリーズでも戦えるよう、ACOフランス西部自動車クラブとIMSAが合意することを望んでいるひとり。『GRスーパースポーツ』をベースモデルとしたプロトタイプカーで、デイトナ24時間やプチ・ル・マンへの出場が可能となることを期待している。
彼はWECとIMSAのプログラムを並行して行うことで「大幅な」コストダウンにつながると述べた。しかし、実現への見通しは立っていないようだ。
トヨタの北米でのモータースポーツ活動を担当するトヨタ・レーシング・デベロップメント(TRD)の社長兼ゼネラルマネジャーであるデビッド・ウィルソンは今年1月、LMH規定のクルマでIMSAシリーズにフル参戦する場合、北米シリーズが採用するLMDhカーでの活動と比べてコストが法外に高くなるだろうとSportscar365に語った。
だが、ローペンは現在IMSAシリーズに組み込まれているデイトナ24時間“ロレックス24”が、将来的にWECのカレンダーの一部になる可能性があると考えている。
「ACO、FIA、WEC、IMSAがどのようなチャンピオンシップを持ちたいかを決める必要があると思う」と述べたルーペン。
「(WECの)ジェラール・ヌーブCEOのような人なら、WECのレースカレンダーにデイトナを組み込むことを夢見ていると想像できる。(チャンスがあれば)彼らはそれに飛びつくだろう」
「トヨタがIMSAでもレースをすると決めたのか、それについては今はコメントできない。だが、それが実現するならば私は支持する。なぜならコストが大幅に下がり、クルマが増えるからだ」
「しかし、これを実現させるにはアメリカ国内での(新しい)人材とマーケティング戦略を用意する必要がある」
「また、北米シリーズを戦うにあたってはLMHがLMDhよりも高価であることを理解する必要がある。そのクルマは真のトヨタ車であり、別のシャシーを基にしているものではないんだ」
毎年、デイトナ24時間をシーズンの開幕戦に組み込むIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権では、2022年から現行のDPi規定に代わるLMDhを採用予定。ACOとの合意に基づいて誕生したこの新規定車は、2021/22からWECおよび、ル・マン24時間の最高峰クラスに出場できるとされている。