9月9日に富士スピードウェイで行われたWEC世界耐久選手権第6戦の予選では、ハイパーカークラスの2台のプジョー9X8が下位に沈んだ。ステランティス・モータースポーツの責任者によれば、タイヤが最適なワーキングウインドウ(作動域)に入らなかったためだという。
プジョーは前戦モンツァで初表彰台を獲得したが、12台がエントリーした富士の予選では93号車のミケル・イェンセンが10番手、94号車のロイック・デュバルは11番手という結果に留まった。
イェンセンは、ポールポジションを獲得した小林可夢偉のトヨタGR010ハイブリッドから2.1秒ほど遅れをとった。
ステランティス・モータースポーツのボスであるジャン・マルク・フィノーは予選後、限られた時間の中でミディアム・コンパウンドのスリックタイヤを最も効果的に使用できる状態に持っていくのに、両ドライバーとも苦労したと記者団に語った。
「予想していたような結果ではなかった」とフィノーは予選を振り返った。
「10位や11位というのは、我々の目標ではなかった。(表彰台を得た)モンツァを経て、もっと上を狙っていたのだ」
「この特殊なコースでは、タイヤを適切な作動域に持っていくことができなかった。わずか15分という予選時間のうちに、クルマをウインドウの中に入れなければいけない。トラックは特殊であり、我々はそれを達成できなかった」
「94号車はタイヤをロックさせてしまい、フラットスポットができたのでタイヤを交換した。(ピットアウト後に)作動域に戻ってきたたところで、雨が降ってきた。93号車も、正しいウインドウには届かなかった」
93号車をジャン・エリック・ベルニュ、ポール・ディ・レスタとシェアするイェンセンは、今週末の富士はコンディションが変わりやすく、マシンのセットアップが難しかったと付け加えた。
「もっと多くのことを期待していたのは間違いないが、タイヤがうまく機能しなかったんだ」とイェンセン。
「グリップ感がなかったので、ラップを重ねるのが難しかった。持っていたものを多かれ少なかれ最大限に発揮することはできたセッションだったが、なぜもっとグリップしなかったのかを分析する必要がある」
「(ドライもレインもある)ミックス・コンディションでは、(フリー走行で)完璧なクルマを作るのは難しいんだ」
「ときどき良いラップもあるが、適切なタイヤ空気圧と適切なバランスには非常に敏感なクルマなので、何かを変えるととたんに機能しなくなるんだ」
「予選のセッションでも、小雨が降っていたしね」
厳しい予選となったが、フィノーはグリップの問題がレースに持ち越され、プジョーが他のハイパーカーたちに挑戦するチャンスに水を差すことはないと考えている。
プジョーはル・マン24時間レースでは一時首位も走行し、モンツァでは93号車が3位に入るなど、最近の好調を維持することを目指している。
「レースでの長いスティントのためにタイヤを適切なウインドウに置いているので、特に心配はしていない」とフィノー。
「明日は違う展開になるだろう。だがいまのところ、このコースで我々はフロントランナーの中ではベストではない。主にセクター3でタイムを失っている」