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初ミサノ走行の高橋巧、難しい状況も着実な走りでタイム短縮/第12戦サンマリノGP

2023年09月09日 04:20  AUTOSPORT web

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ミサノ・サーキットは初走行。自分のリズムで走ったという
 高橋巧が、アレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)の代役としてMotoGP第12戦サンマリノGPに参戦している。高橋にとっては、MotoGP海外グランプリでの初めての代役参戦、そしてミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリを初走行。しかし、初日午前、午後の2回のセッションを走り、タイムを約2秒詰めた。「なによりも予選を通過することが第一目標」と高橋は語る。

 全日本ロードレース選手権JSB1000クラスで活躍してきた高橋は、ここ数年は世界を舞台に戦い、2020年はスーパーバイク世界選手権(SBK)、2021年、2022年はブリティッシュ・スーパーバイクに参戦した。2023年シーズンは全日本ロードに復帰し、ST1000クラスに参戦。8月上旬に行われた鈴鹿8耐ではTeam HRC with 日本郵便を優勝に導いた。現役ライダーとして活躍する傍ら、ホンダのMotoGPマシンのテストにも携わっている。

 イタリアGPの転倒により負った右足脛骨と腓骨の骨折の療養に努めているリンスの代役は、しばらくSBKライダーのイケル・レクオーナが担っていたが、サンマリノGPの開催週にSBKフランスラウンドが行われるため、高橋が指名された形である。

 2015年MotoGP日本GPでのワイルドカード参戦経験はあるものの、高橋にとって、海外グランプリでの代役参戦は初めて。ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリを走るのも初めて。MotoGPマシン自体、今年、数年ぶりに数回走ったのみだったという。非常に難しい状況での参戦だった。

 木曜日、囲み取材のために姿を見せた高橋に、短い期間のなかでいかにミサノ・サーキット攻略へ向けた準備をしたのかと聞くと、「1日くらいしかなかったので映像を見ながらこっちに来る準備をして、とバタバタでした。映像もまともに見られていないんですけど……。空いている時間を使って、少しでも覚えられればと思います」と語っていた。準備期間という意味でも、非常に慌ただしい状況であったことが察せられた。

 迎えた金曜日のフリープラクティス1は1分37秒894でトップから5.985秒差。プラクティスは1分35秒886で、トップから5.040秒差。自分のペースを崩さずに、ベストタイムを約2秒縮めてみせた。ただ、ともにトップから105%以内のタイムを記録することはできなかった。

「いちばん(難しいの)は終盤11コーナーから14コーナーまでの高速区間です。11コーナーで遅れているからその先も全部遅れている。いちばん直したいのは11コーナーで、もうちょっと改善したいかな、という感じですね」

「ちゃんと攻め切れている感じはないのでタイム自体はまだ上がるとは思うんですが、走り方がわからないとたぶん(タイムが)上がっていかないと思っています。予選まではあと1回のセッションしかないですから、そこで今日のタイムは余裕で超えていかないといけないですね」

 MotoGPは、予選を走るために3回のセッション(フリープラクティス1、プラクティス、フリープラクティス2)で、そのセッション内におけるトップタイムの105%以内のタイムを記録しなければならない。高橋は初日を終えた時点でこの条件を満たしていないため、土曜日午前中のフリープラクティス2が、予選に出走する条件を達成する最後のチャンスとなる。

 ただ、イギリスGP以降、予選Q1、Q2の振り分けは、金曜日午後のプラクティスのタイムのみが対象となった。つまり、プラクティスはQ2へのダイレクト進出を目指し激しいタイムアタックが行われるセッションなのだ。今大会のプラクティスでも、トップのマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)がオールタイムラップ・レコードを更新している。土曜日午前中のフリープラクティス2では、プラクティスほど激しいタイムアタックにはならないだろうと思われる。

「まだ限界の走りができていないので、タイヤを限界まで使いつつ、リズムもつかみつつ、タイムを上げたいと思います」と語っていた高橋の前進に期待したい。