糖尿病を抱えながら男児2人を出産した女性は、妊娠中に「子癇前症(妊娠中の高血圧腎症)」を発症したため二度の早産を余儀なくされた。医師から「次の妊娠も非常にリスクが高く、自らの命を危険にさらすことになる」と告げられたが、再び子供を授かることを望む夫婦にとって唯一の希望は代理母を見つけることだった。イギリスの公共放送『BBC』などが伝えている。
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スコットランドのレンフルーシャーにある町アースキンで暮らすエイミー・ゲデスさん(Ami Geddes)と夫のスチュアートさん(Stuart)は先月、代理母出産により長女コニーちゃん(Connie)を迎えた。
幼い頃から1型糖尿病を患い、妊娠にはリスクが伴うと告げられていたエイミーさんは、長男カムディンくん(Camdyn、4)を妊娠中に子癇前症を発症し、妊娠29週で早産した。子癇前症とは、かつて妊娠中毒症と呼ばれていた「妊娠高血圧症候群」のうち高血圧やタンパク尿が認められる状態で、母体や胎児の命を脅かすけいれん(子癇)のリスクが高いという。
次男のクラークくん(Clark)を妊娠中にも、再び同じ病を発症したエイミーさんは2021年1月、予定日よりも4か月ほど早い妊娠24週での出産を余儀なくされたという。
残念なことにクラークくんは誕生後まもなく亡くなってしまったそうで、スチュアートさんは当時の状況についてこう振り返った。
「長男を妊娠した時と同様に子癇前症を発症したエイミーは血圧が急上昇してしまい、彼女の命を救うために予定日より早く次男を出産することになりました。息子の肺は十分に発達していませんでしたが、毎日命がけで闘っていました。そんな姿を見て、私たちはスーパーマンのクラーク・ケント(Clark Kent)にちなんで彼にクラーク(Clark)と名付けました。でも残念なことに、生後12日で生命維持装置を止めることになったのです。」
一方のエイミーさんは、「クラークを亡くしたことは私たち夫婦にとって本当に悲しいことでした。このような結果について、医師からは受精卵に問題があるのではなく、私の身体が妊娠に反応してしまうためだと告げられました。そして次の妊娠も非常にリスクが高く、自らの命を危険にさらすことになると聞かされた時はとても辛かったです」とその心境を吐露した。
それでも子供を授かることを望んだ夫妻にとって、唯一の希望は代理母を見つけることだった。
そんな時、イーストレンフルーシャーにある町バーヘッドで助産師学生として学ぶ傍ら4人の子供を育てているジェニファー・ハリデーさん(Jennifer Halliday、36)は、共通の友人を通じてエイミーさん夫妻の事情を知り、2人の願いを叶えるため代理母になることを決意したという。
「生後間もないクラークくんを亡くし、エイミーさん夫妻がどれほど心を痛めているか…そのことを聞いた私は、夫妻が再び子供を授かるための手助けをしたいと思ったのです。助産師学生である私は、エイミーさんが妊娠した場合のリスクを十分に理解しています。4人の子供を出産して、妊娠経過はすべて順調だった私ならきっと役に立てると思ったのです。そして夫のジェイミー(Jamie)に相談したところ、彼は『2人のために赤ちゃんを産めるのならそうすべきだ』と言ってくれました。私はエイミーさん夫妻に連絡し、実際に会ってお互いの家族について知ったのち、代理母になると申し出ました。」
そのように語ったジェニファーさんは、あらゆる検査や様々な手続きを経てエイミーさん夫妻の胚移植を受け、そして8月18日にロイヤル・アレクサンドラ病院で体重8ポンド6オンス(約3800グラム)のコニーちゃんを出産した。
出産を迎えたのは助産師学生として1年目の試験に合格した矢先のことで、これから2年目の勉強に入るジェニファーさんは代理母としての経験について次のように話している。
「助産師学生でありながら妊娠し、出産について勉強しながら他の母親たちを助けるという経験は、私の人生において重要なことでした。患者さんの元気な姿や喜ぶ姿を見られることは看護師や助産師にとってとても嬉しいことです。私は母親であること、そして他の人の幸せを見ることが大好きです。なのでエイミーさん夫妻が健康な赤ちゃんを授かることができて本当に嬉しく思っています。」
そんなジェニファーさんに敬意を表し、コニーちゃんに「ジェニファー」というミドルネームをつけたというエイミーさん夫妻は、彼女への感謝の気持ちをこのように述べている。
「これまで困難なことも多くありましたが、私たちは再び親になることができて幸せだと思っています。私たちの夢をすべて叶えてくれたジェニファーさんに心から感謝しています。」
画像は『BBC 2023年9月1日付「Couple thank student midwife who gave birth to their daughter」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)