新しい人材を採用するときは危険な人物は極力避けたいものだが、海外でとんでもない人材と遭遇したというエピソードが寄せられた。かつて米国カルフォルニア州でレストランを経営していたという60代の女性は次のように語る。
「今から10年ほど前、日本食レストランのオーナーをやっていました。ウエイトレスを募集していたのですが、 応募してきた40代の日本人女性は、面接の最中に躊躇することなく携帯電話をとりました。声を落とすこともなく『今〇〇で面接の最中だから30分後くらいに 〇〇で落ち合おう』と答えていました」
面接の真っ最中に堂々と電話に出ただけでなく、相手と約束までしていたのだから驚きだ。女性は「そこで落としておけば、のちのトラブルはなかったはずでした」と振り返る。一体何があったのか、編集部では女性に取材を申し込み詳しく話を聞いた。
「あまりにガサツ無神経で『こりゃないわ~』と思ったのですが」
応募してきたのは、店の近所に住む子持ち女性だった。その「ママさん」は、見た目はごく普通だったが、「チップ率はどのくらいになるのかを詳しく聞いてきました」と振り返る。
「米国では面接時に時給とチップ率を聞くことは普通です。ただ、自分の能力とウエイトレス経験がそれほどでもないのに、貰うことだけしつこく聞く人は私の経験上あまり仕事ができません。面接でそういう胸算用をしているのが丸わかりな人は、要注意です」
面接中に携帯電話に出たことに反省の色もなく、不安材料は色々あった。
「率直にものを言う米国だとしても、女性の態度はあまりにガサツで無神経なので『こりゃないわ~』と思ったのですが、サーバー(ウエイトレス)がどうしても足りなかったので、これを逃すと店が開かなくなるかもしれないとぐっと我慢をして週一勤務で採用しました」
場をわきまえない人を雇いたくはなかったが、人手不足で仕方なかった。ところがあるとき、信じられない事態が起こる。
「店のものを盗んでいたのを押さえましたのでクビにしました。素人の手口とは思えなかったので常習だったと思います」
チップもかすめ盗っていたかもしれないが…
盗んだのはリサイクルに回すはずだった酒の空瓶だった。「その他はやられていても不明です」として、詳細をこう語った。
「店の営業が終わると、ビール瓶やワイン、焼酎の空瓶を、店の裏に置かれたリサイクルボックスに入れる手順になっていました。フタを開けて瓶を投げ込むと大きな音がします。その夜の終了作業では大きな音が聞こえなかったような気がして、ママさんに空瓶の始末はしたか聞くと『しました』と答えました。レジを締めチップの分配を済ませて彼女は帰りました」
女性は最後の戸締りをするために裏口を出て何気なく駐車場にまわった。すると…
「そこの植え込みの陰にリサイクルボックスに入れたはずの空瓶が隠してありました。彼女は表のドアから駐車場に出て植え込みに隠していた瓶を回収して帰るつもりがうっかり忘れてしまったのです。ビール瓶とワインは換金すると1本5セントから15セントくらいだったのではないかと思います。大した金額にもならないのに盗んでいました」
と窃盗が明らかになった。素人の手口とは思えず「初めてではないと思います」と語る。米国では万引き犯がこうした「商品を店のトイレの窓から外に投げて後から回収する」という手口を使ってくるという。リサイクル瓶を盗られても店側に損害はなかったが、もうこの人を信用して雇い続けることは出来なかった。
「終了作業のなかで在庫や備品を店の外に隠されれば目が届きません。レストランの従業員で一番よくある窃盗は、客のチップの一部をエプロンのポケットに入れかすめ盗ることですが、リサイクルに回すビンには注意を払っていませんでした」
チップの仕組みは店によってさまざまだが、女性の店ではレジを締めた後にウエイトレス全員からチップを集めて総額を出してから、オーナーが決めた割合でそれぞれに配分していたという。
「レジ締めのときにチップをポケットに入れられると分かりません。このママさんも盗んでいた可能性がありましたが、証拠が無かったので不問としました」
と後味の悪いまま解雇とした。女性は懲り懲りした様子でこの件を振り返り、
「その件以降、面接でひっかかることがあるなら絶対採用しないことにしました」
と教訓を語った。
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