「2時間半から3時間で終わるはずの披露宴が延びに延びて4時間30分以上。スタッフには『一番最後の披露宴で良かったです』と言われました。あきれていたと思います」
こう悲嘆に暮れるのは、30年前に都内の有名ホテルで結婚式を行ったという60代の女性だ。当時女性は33歳、夫は36歳だった。
「ホテルでの式は、私の職場の上司も呼ぶのでひたすら下品な披露宴にはしたくないと思いました。記憶に残らない披露宴を粛々と終わらせたかったです」
と語る女性。30年経過した今もなお後悔が残る結婚式とはどんなものだったのか。編集部では女性に詳しく話を聞いた。
ご夫婦は事情により披露宴を2回開いていた。ひとつは地元の夫側の宴席で「寿司屋などを座敷に呼び、飲めや歌えや主役を放り出しカラオケ大会みたいなもの」だった。お世辞にも行儀がいいとは言えない宴だったようだ。
ただ、ホテルでは招待客に配慮して「料理は一番良いコースを頼みました」と相当お金をかけ準備は抜かりないはずだった。ところが……。
「招待客に申し訳なくていたたまれない気持ちでいっぱいになりました」
「夫側の主賓がお祝いの挨拶で30分以上も語りつくし、挙げ句の果てに頼んでもいない詩吟を2曲も披露しました。やっと終わったと思ったら、次に乾杯の音頭で知人が延々自分語りを始めて。前もって『スピーチはいらない』と言ってあったのに……。乾杯のグラスを持ったまま15分も立たされ、招待客に申し訳なくていたたまれない気持ちでいっぱいになりました」
乾杯の音頭は、さらっと一言お祝いを述べたらすぐに「乾杯」するのが好ましい。長時間待たされたら疲れるのはもちろん、シャンパンやビールが不味くなってしまうだろう。しかし「俺がやってやると言われたから頼まないといけない」と夫に言われた時からイヤな予感がしていたそうだ。
「プロの司会者の方から、スピーチを始めてしまう人がいるのでくれぐれも音頭だけと頼むよう言われていたんです。もちろん本人に念を押しましたが、いざ乾杯になり皆がグラスを持ち立ち上がると『妻がそれはスピーチしなくてはいけないと言った』と言い出し……」
勝手に長時間スピーチされた上に、ほかにも、「披露宴の途中で司会者が出席者にマイクを向ける場面で、夫のいとこが寝ているのがばれて恥ずかしかったです」と夫側の招待客にはひんしゅくものの言動が目立っていた。これらに女性の母親は、かなりドン引きしてしまったそうだ。
友人挨拶では夫を貶され
しかも女性が冷や汗をかくことはそれで終わらなかった。夫の友人スピーチが最悪だったのだ。
「夫の友人はウケ狙いなのか夫の性格をちゃかし、夫が猪突猛進で止めても止まらないこと、考えなしで行動することや、浅はかであることをスピーチされました。新郎を貶めて笑いをとりたかったようです」
女性は、「普通どんな無理しても褒めるだろう、こんなことを言われる夫で大丈夫なのだろうか」と不安でいっぱいになったという。
後日、母親から「長くてお腹すいちゃった」という感想が招待客から漏れ聞こえてきたことや、新婦側の親族が「あんなのと結婚して大丈夫か」と噂していたことを聞かされたというから切ない。女性はいまだに忘れられない様子で、痛恨の披露宴をこう振り返る。
「スピーチや余興を頼む人はよくよく選ばないと自分の結婚式であっても、始まってしまったら希望通りにはならないのだと痛感しました。どんなに料理や花にお金をかけても、招いた人次第でぶち壊しです。400万円返してほしい」
この日のことを「いらなかった結婚式」とまで評していた。
娘には「結婚式は無理して挙げなくてもいいよ」
招待客のおかけで「トラウマレベルです」とまで言う女性。
「夫と結婚することで、式には出てくれたものの両親からは縁を切られたような状態が続きました」
と結婚後は親と疎遠にまでなってしまった。結婚生活も夫側の親族ともめることが多く苦難の連続だったと語っている。結婚相手は選べても、その親族はどうにもできないのが辛いところだ。
「結婚式は新郎と新婦の共同作業ではなく、新郎新婦と招待客の共同作業です。娘には結婚式は無理して挙げなくてもいいよ。自分たちのためにお金は使いなさいと言っています」
と懲り懲りしたように語った。
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