何かに熱中することは決して悪いことではないが、それがギャンブルだとしたら問題だ。長年ギャンブル依存症だった70代男性(パート・アルバイト/年収350万円)は、若かりし頃を回想する。(文:長田コウ)
「20才のとき、競艇にハマり毎日、行くようになりました。住之江競艇場の近くが職場で昼には仕事が終了していたせいと思います」
と、大阪市内にある競艇場に足繁く通っていた。
サラ金に500万円を「完済したら今度はパチンコ、パチスロをやるようになり…」
当時20代だった男性は「負けが続き会社から前借りして暮らして」おり、このような生活から脱しようと大阪府枚方市に引っ越したが、「たまたま京都競馬場に誘われ競馬デビューを果たした」という。
「いきなり買った馬券が的中し、32万の配当。それから土、日曜は競馬通い」
競馬デビューと同時に幸運に恵まれた男性がはまってしまう気持ちも分からなくもない。しかし5年続けた末、「サラ金に500万の借金が残っていました」と明かす男性。流石にこのままではまずいと心を入れ替えたのだろう。「借金返済のため競馬は完全にやめ仕事に専念」したという。ところが……。
「完済したら今度はパチンコ、パチスロをやるようになり、ほぼ毎日、通う有り様です。競艇、競馬、パチンコ、パチスロで1億円以上は負けていると思います。明らかにギャンブル依存症の典型です」
と、自身が依存症であると自覚していたようだ。そして「1日に最高で負けたのは21万で勝ったのは23万です。花の慶次という台で72連チャン(途中30回転程度のスランプあり)は忘れることができません」と振り返る。
その当時の男性は会社役員だったため、「年収1千万円以上」はあったという男性だが、「年金生活者になった今日、ギャンブル依存症から脱しないと、と思い、1年前すべてのギャンブルから手を引き、おとなしくしています」と綴る。
現在は月20日勤務のアルバイトをしつつ、「手元に(残った)400万円の借金をコツコツ返済」しているそう。アルバイトをする理由として、「ギャンブルを避けるためと早く返済したいからです」と、依存症克服に前向きな様子が窺える一方で、葛藤もあるのだろう。
「なかなか依存症を治すのは厳しく難しいです。今でも『行きたい、やりたい!』と身体が、脳が、手がいうことを効かなくなりコントロール制御に大変です」
と、苦しみを打ち明けた。しかしギャンブルをやめ1年が経ち、男性の心境に変化が表れる。
「もう、ギャンブルに行くことはないでしょう。まったく、やりたい、やろう、と思うことはありません。ちなみにアルコール依存症も断酒により、もう10年も飲んでいません。タバコも10年前にやめました」
最後には、
「その気の、さらにその上のその気があれば、意識との勝負で勝ったものが依存症克服ではないでしょうか」
という男性の言葉には、依存症を克服できたことへの自負心が垣間見える。男性は自力で克服したが、依存症に悩む人は自助グループや支援機関を頼って相談してみてほしい。
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