アルピーヌのモータースポーツ担当副社長であるブルーノ・ファミンは、ポール・リカール・サーキットで行われた新型LMDh車両『アルピーヌA424』の初テスト終了後、マシンのさらなる開発に向けて「良い基盤」を得たと語った。
オレカをベースシャシーとするA424は先週、フランスのル・カステレ村に位置するサーキットで最初のトラックテストを行ない、数日間で1000kmを走破した。
このテストに先立ち、8月上旬にはごく低速での走行が、8月23日の月曜にはカステレ空港での追加のシェイクダウンが行われていた。
■ボディワークの一部に遅れが発生
8月24日から3日間行われたサーキットでのテストでは、ニコラ・ラピエール、マシュー・バキシビエール、シャルル・ミレッシが交代で3.4リッターV6ターボマシンのステアリングを握った。
「正直なところ、かなりうまくいった」とファミンは語っている。
「もちろん、最初のテストでは、まず安全面をチェックし、マシンの能力とドライバビリティを確認することが最優先だ。これが今回我々が行ったことだ。当然、パフォーマンスについて話しているわけではない。だが、妥当な走行距離を稼げたので、これには満足している」
「やるべきことは当然たくさんあるが、ドライバーたちは現状のクルマに満足している。それは、我々がこの先の作業に向けて良い基盤を手にしていることを意味する」
ファミンは、アルピーヌにとって現在の開発段階での焦点は、信頼性の問題に取り組むことだと付け加えた。この1週間の間に小さな問題が発生したことをファミンは指摘したが、マシンは「大きな問題」なくテストを完了したとしている。
「主な課題は信頼性であることは言うまでもない」とファミン。
「それに取り組む必要がある。そして、我々が気づいた小さな問題としては、すべての温度、特に新しいパワートレインを搭載するボンネット内の温度を管理する必要がある」
「もちろん、やるべきセットアップはたくさんあるが、チーム全体にとって優先されるのはマシンの信頼性を高めることだ」
ファミンは、最初のロールアウトはハイブリッドシステムをアクティブにした状態で行われたと説明した。
「(8月上旬の)最初のシェイクダウンは、クルマが機能しているかどうかを確認するために行われたが、実際にはボディワークの一部に遅れがあった」
「最初のシェイクダウンでは、ボディワークのパーツがすべてそろっていなかった。そのため、基本的な機能をチェックするためだけの非常に低速でのシェイクダウンとなった」
■すでに2台目のシャシーを製作中
この開発初期段階におけるスペアパーツの不足は、アルピーヌにとって依然としてリスクとなるが、ファミンは不必要な問題を回避するドライバーの能力に自信を示した。
「いまはまだプログラム初期の段階であり、もちろんスペアパーツやスペアシャシーはまだあまりない」
「だから慎重にならざるを得ないが、我々はドライバーたちを信頼していると思う。ニコやマシュー、そしてシャルルだって経験豊富だ。我々には走行距離が必要なことを、彼らは理解している」
「純粋なパフォーマンスについては、まだ気にしていない。誰がベストラップタイムを刻むかなんて見ていないし、ラップタイムなんてほとんど見ていない」
「クラッシュしないこと、大きな問題を起こさないことが重要だ。確実に、計画どおりに最高のプログラムをこなせるようにすることだ」
「なぜなら、2024年の初戦までの時間はとても短い。この先には多くの問題も発生するだろうし、ミスは避けたい」
ファミンによると、アルピーヌは2台目のシャシーを製作中だという。彼らは2月24~25日にカタールで開催されるWEC世界耐久選手権の開幕前週の公式テスト『プロローグ』に間に合わせるため、ホモロゲーション取得にタイトな時間枠で対処しなければならないという。
「もちろん、テストプログラムがあるので、少し時間が足りないのだ」とファミン。
「私たちはホモロゲーションのプロセスも実行する必要があるが、これにはかなりの時間がかかる」
「我々は現在、2台目のクルマの製作を開始している。 2024年のカタールまでは、非常にタイトな計画となっている。なぜなら、それはすぐそこに迫っているように感じるからだ」
「2024年シーズンは非常に早く開幕する。例年よりほぼ1カ月早いんだ。 時間的に、非常にタイトであることは事実だ」