トップへ

"性的な写真"でゆすられる「セクストーション」…10代男性も標的、被害相次ぐ

2023年08月27日 09:41  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

「セクストーション」(性的脅迫)という言葉を聞いたことはありますか。


【関連記事:「16歳の私が、性欲の対象にされるなんて」 高校時代の性被害、断れなかった理由】



「sex」(性的)と「extortion」(ゆすり、脅迫)を合わせた造語で、性的な画像や動画を送らせたりビデオ通話で盗撮したりしてから、「お金を送らないと知り合いに画像を送る」と金銭を送るように要求したり、さらに過激な画像を送るように脅したりするものです。



最近、10代から20代の若い男性が、SNSで知り合った人物からセクストーションの被害に遭うケースが相次いでいます。自分の性的な画像を撮られた恥ずかしさから、なかなか相談につながらないケースも多いそうです。



対処法はあるのでしょうか。支援団体や弁護士に聞きました。



●「録画した、フォロワーにばら撒く」

セクストーションの典型的な手口は、以下のような流れです。



言語交換アプリを通じて知り合った相手から、インスタグラムやLINEなどでビデオ通話をしようと誘われる。そこに、相手が裸で登場する。



「海外の人はこんなに大胆なんだ」。そう驚きつつ、相手からは「体つきがいいね」などと言われ、自分も服を脱いだり裸になった姿を見せるように求められる。



相手の求めに応じていると、突然「録画した。BitcoinやPayPalでお金を支払わないと、録画をインスタグラムのフォロワーにばら撒く」と脅される。



ただ、フォロワーには大学の同級生や会社の同僚もいる。一体どうすればいいのか——。



●「お前もやればいい」と言われることも

デジタル性暴力やAV出演被害者への支援に取り組むNPO法人「ぱっぷす」の元には、2022年夏ごろから「セクストーション」の相談が寄せられています。全体の相談の3割程度を占めており、2023年6月には男性からの相談が17件寄せられています。



中には、すでに十数万円もお金を支払ってしまった時点で相談に来る人もいますが、一度でも支払うと「見込み客」としてさらにつけ込まれていくそうです。



「たとえ、拡散しなかったとしても撮られた側には不安や恐怖がずっと残ります。加害者はその心理を十分よくわかっているので、さまざまな方法で脅して、お金を支払うよう揺さぶってきます」(ぱっぷすスタッフ)



中には、加害者から「お金の返済に困るなら、お前もやればいい」と促されたケースもあるといいます。



弁護士ドットコムにも「セクストーション」に関して、「昔被害にあって、その金額を返済するためにこの詐欺をおこなっていると言われた」という男性からの相談が寄せられています。



●法的にはどうなる?

日本の若い男性を標的にした「セクストーション」は、詐欺集団による犯行の可能性もあるとみられています。消費者被害にくわしい金田万作弁護士は、脅してお金を請求するため「恐喝罪」にあたると説明します(お金を払っていなければ恐喝未遂罪)。



「一番良いのは、お金を払わないことです。Bitcoinで支払ってしまった場合、ほぼ取り戻すことはできません。脅しに屈せず、警察に相談するのがベストです。その際に、アカウントの情報や脅しの文言などを証拠として残しておくと良いでしょう」(金田弁護士)



また、インスタグラムの場合は難しいものの、相手のLINEがわかる場合には、弁護士に依頼すれば、相手のLINE登録の際の携帯電話番号を照会することができる可能性もあるといいます。



ぱっぷすで被害相談に対応するスタッフは「セクストーションという言葉を広めないと、認識も広がっていかない。警察に動いてもらうようにするためにも、まずは相談に行ってほしい」と話しています。