スーパーGT第5戦鈴鹿、ドライバーズランキング4位で50kgのサクセスウエイト(SW)を搭載する23号車MOTUL AUTECH Zだが、予選ではSWの重さを跳ね除け、2番グリッドを獲得。決勝では第3戦でクラッシュを喫してしまった因縁の鈴鹿で、完全復活を狙う。
23号車MOTUL Zは前回の富士の決勝で松田次生が黒白旗を受けたことでドライビングハザードの累積ポイントにより、今回の鈴鹿ではフリー走行で1時間走れないペナルティを受けることになってしまった。その分、午前はチームメイトのロニー・クインタレッリの走行が増えることになった。
「クルマは午前中はすごく風が強くて、セットアップの面でS字とかが乗りづらくて、悪くないなと思っていたけど、Q1に向けて風がおさまって、路面も良くなった。タイヤもこの暑さならしっかりグリップすることがわかっていたので、狙い通りでした」と、予選までを振り返るクインタレッリ。
そのQ1は松田次生が担当することになった。
「は累積ペナルティで1時間、走れないというのがあったので、僕の中で大丈夫かなという不安しかなかった」という予選前の心境のなか、Q1では3番手の好タイムで難なくQ2のクインタレッリにバトンを渡せた。次生がQ1のアタックを振り返る。
「不安しかなかったのですけど、自分を信じて。入院して、ここまで復帰できたというか、やっぱり結果が出ないと復帰したとは言えないので、本当にひさびさにQ1でしっかりといいタイムを出せて、やっと戻ってきたという感じがあります。アタックはもう、本当にノーミスでした」と次生。
バトンを受けたクインタレッリも、満足のいくアタックができたようだ。
「Q1では次生選手が行ってくれて、その時に午前中から2秒くらいタイムが上がっていてクルマもすごく良くなっているとコメントしていたので、僕も精一杯アタックできました。いいアタックラップだったのですけど、ちょっとした差(0.04秒差)でポールが獲れなかったので悔しいですね」
僅差の2番手に悔しさを見せるクインタレッリだが、50kgのSWを搭載していて、ポールの16号車ARTA MUGEN NSX-GTよりもSW18kg重いことを考えれば、十分に良い結果だと言える。
実はクインタレッリにとって今回の予選Q2アタックは、昨年の第5戦鈴鹿以来の1年ぶりのQ2アタック。
「明日のレースは前の方から進められると作戦の幅がいろいろできるし、一年ぶりのQ2アタックだったので、すごく楽しかったです」と、好結果とともに笑顔を見せた。
一方、次生にとっては前回の第3戦のクラッシュが頭をよぎる。当然、130R立ち上がりから日立Astemoシケインの侵入までを走る時は、まだまだ平常心ではいられない。
「やっぱりね……通るときにはありますよね。ですので、明日の決勝が怖いです。とにかく集中して、僕だけでなく僕たちとしても復帰レースにしたいので、嫌なことは忘れて、とにかく全集中で頑張って行きたいと思います」と、怖さを吐露する次生。
それでも、「クルマは重いなりにですがいいフィーリングだと思います。あとは決勝でしっかりタイヤマネジメントができれば、行けるんじゃないかなと思います」と顔を上げる。
決勝のリザルト、そしてチャンピオンシップだけでなく、23号車MOTUL AUTECH Zにとって、明日の鈴鹿の決勝レースはさまざまな想いが含まれることになる。