2023年08月23日 09:51 弁護士ドットコム
スーパーに備え付けられている無料のポリ袋を必要以上に持ち帰る「ポリ袋ハンター」が各地で出没している。
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ネット上には「10枚以上ふんだくっている人がいた」「トイレットペーパーのように大量に取っていてビックリ」など、目撃者からの投稿が複数みられる。
2021年には財務事務次官(当時)が「ポリ袋ハンター」と化した様子が報じられ、物議を醸した。報道によると、5回ほどロールを回して巻き取り、リュックに詰め込んだという。
このような行為は「犯罪」ではないのか。坂口靖弁護士に聞いた。
ーー「ポリ袋ハンター」の行為は「犯罪」にあたりうるのでしょうか。
はい。無料だとしても、大量に持ち帰ると窃盗罪にあたる可能性は十分にあります。
窃盗とは、暴行・脅迫などの手段によらずに「占有者の意思に反して、その占有を取得すること」を指します。
ポリ袋は店舗が占有するものです。店が想定している以上に持ち帰る行為は「占有者である店舗の意思に反して、その占有を取得」していると評価しうるといえます。
特に窃盗罪として処罰される可能性が高まるといえるのは「1人3枚まで」などと具体的に掲示されている場合です。
ただし、1人の客が数枚を超えて大量に持ち帰ることは、店舗の意思に反する行為だと常識的に認識・理解できると思われます。具体的な枚数の掲示がなくとも、窃盗罪にあたる可能性は十分に考えられるでしょう。
ーーどの程度であれば「大量」と判断されるのでしょうか。
私見ではありますが、枚数を制限する掲示がない場合、客1人が1回の購入で「数十枚」持ち帰れば「大量」と判断される可能性はあると思います。一方、2、3枚程度であれば、社会通念上許容されていると考えられるので、罪に問われる可能性は低いでしょう。
ただし、窃盗罪が成立する可能性があると考えられる場合でも、すべての人が実際に逮捕や処罰をされるとは限りません。何度も大量のポリ袋を持ち帰り、店舗側から複数回注意されていたにもかかわらず繰り返した場合などに限られると思われます。
過去には、スーパーにある保存用の無料の氷を10数キロ持ち帰ったとして窃盗で逮捕された事例があります。この場合も何度も注意を受けていたのに繰り返したため、逮捕に至ってしまったようです。
【取材協力弁護士】
坂口 靖(さかぐち・やすし)弁護士
大学を卒業後、東京FM「やまだひさしのラジアンリミテッド」等のラジオ番組制作業務に従事。その後、28歳の時に突如弁護士を志し、全くの初学者から3年の期間を経て旧司法試験に合格。弁護士となった後、1年目から年間100件を超える刑事事件の弁護を担当。以後弁護士としての数多くの刑事事件に携わり、現在に至る。YouTube「弁護士坂口靖ちゃんねる」 <https://youtube.owacon.moe/channel/UC0Bjqcnpn5ANmDlijqmxYBA> も更新中。
事務所名:プロスペクト法律事務所
事務所URL:https://prospect-japan.law/