日常の気になる疑問を解決!夏といえば怖い話……はなぜ?知って楽しいおもしろ雑学を友達や家族にも教えてあげよう。
知って楽しい!おもしろ雑学
Q.夏といえば“怖い話”……はなぜ?
A.江戸時代に、歌舞伎で怪談の演目をするようになったのがきっかけです。(國學院大學 文学部教授 飯倉義之先生)
日本の夏の風物詩ともいえる、怪談などの「怖い話」。ホラー映画が公開されたり、テレビで心霊特集が組まれたりするが、そもそもなぜ、夏に怖い話をするのか。
「夏に歌舞伎の演目で怪談芝居をしたのが、“日本の夏といえばホラー”というイメージが定着したきっかけです」
そう教えてくれたのは、民俗学の研究をしている國學院大學の飯倉義之先生だ。
「怪談芝居のルーツは中世にあり、お盆の時期に行われていた民俗芸能の『盆狂言』と呼ばれるお芝居です。祖先の霊が帰ってくるとされるお盆に、盆棚をつくったり迎え火を焚いたりして祖先の霊を迎えますが、盆狂言もそんな慣習のひとつ。
狂言といっても、プロの狂言役者が演じるのではなく、村の中でやる催し物のようなものです」(飯倉先生、以下同)
実はお盆には祖先の霊だけではなく、現世に恨みを抱いた怖い怨霊も帰ってくるとされていた。怨霊の苦しみや成仏する姿を演じることで、供養しようというのが盆狂言だ。
そんな盆狂言が、江戸時代の民衆に大人気の娯楽、歌舞伎に取り入れられることに。
「歌舞伎を披露する芝居小屋は夏場になるととても暑く、客足も遠のいて、看板役者も夏休みに入ってしまうなど儲けがありませんでした。
そこで目をつけたのが、幽霊が出る盆狂言。観客を驚かせる派手な演出をすることで、ベテランがいなくとも見応えのあるものになったのです」
こうして始まった怪談芝居は大人気に。やがて、歌舞伎だけではなく、落語や講談にも広まっていき、日本の夏の風物詩となったそう。