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『ブルーロック』なぜ最もイカれたサッカー漫画? 圧倒的エゴイズムと超絶な神技の魅力

2023年08月21日 07:10  リアルサウンド

リアルサウンド

『ブルーロック』25巻

  現在「週刊少年マガジン」で連載中の大人気マンガ『ブルーロック』。原作・金城宗幸氏、漫画・ノ村優介氏による同作は、累計発行部数2600万部を突破するなど破竹の勢いを見せている。第45回講談社漫画賞少年部門、TikTok上半期トレンド大賞2023話題部門賞を受賞するなど話題には事欠かない作品だが、一体なぜ『ブルーロック』は人気を集めているのか。今回はその魅力や支持される理由について迫っていきたい。


(参考:【写真】元日本代表・松井大輔が見事に「二段式空砲直蹴撃」を再現する様子


■常識ではあり得ない“青い監獄”のシステム


 「史上最もイカれたサッカー漫画」の異名を持つ『ブルーロック』だが、そのストーリー展開や設定がこれまでにない“イカれた”ものになっている。従来のサッカー漫画といえば、主人公がライバルやチームメイトと共に友情をはぐくみ、切磋琢磨しながら成長していく青春ストーリーを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。しかし本作は爽やかな友情や青春を思わせる雰囲気とは異なっている。


 物語は主人公・潔世一(いさぎよいち)をはじめとする高校生ストライカー300人が、育成寮「青い監獄(ブルーロック)」に集められたところからスタートする。そこでコーチを務める男・絵心甚八(えごじんぱち)から、日本をワールドカップ優勝に導くため「世界一のストライカーを創る実験をする」と伝えられる。


  与えられた試練は、299人を蹴落として最後の1人に残ること。しかも脱落者は永久に日本代表入りできないというかなり厳しいものだ。日本代表を目指す高校生たちの、生き残りをかけたデスゲームが突如始まる─。


■世界一のエゴイストでなければ世界一のストライカーにはなれない


  これまでにないサッカー×サバイバルゲームの要素が入った『ブルーロック』に戸惑いを見せる読者もいる。本作で求められるのはチームプレイではなく、圧倒的な“個”であり“エゴイスト”であること。


 サッカー人生をかけた戦いのため、極限状態に陥ったキャラクターたちは時に手段を選ばずライバルを出し抜き、罵り合う。そんな過激な描写に最初は戸惑うかもしれない。しかし本作のような新しいサッカー論に触れることで、新しい気づきが生まれる可能性がある。これまでとは違った視点からの切り口は斬新で、作品が支持される理由のひとつとなっている。


 『ブルーロック』には個性的なキャラクターが多く登場することも魅力のひとつだ。高校サッカー界では無名のストライカーであった潔世一は取り立てて特徴のない選手だった。もともとはチームプレイ重視で自分の“武器”がわかっていなかった潔だが、『ブルーロック』で厳しい選考を重ねるうちに自身の強みを見つける。


  そんな潔を中心に、マイペースで自由奔放なサッカースタイルの蜂楽廻(ばちらめぐる)や、『ブルーロック』のトッププレイヤーで超エゴイストの糸師凛(いとしりん)などが世界一のストライカーを目指して戦う。


  本作品は個性的なキャラクターに加え、神がかり的な技も多く登場する。代表的なものが、凪誠士郎が決めた神業「二段式空砲直蹴撃(にだんしきフェイクボレー)」だ。一旦ボレーを打つと見せかけて上に浮かせ、一回転してから落ちてきたボールを再度ボレーシュートで決めるといったもの。


【ブルーロック】三笘のゴールにそっくりと話題の、凪誠士郎の神業を松井大輔が完全再現?!


  その難解な技を再現しようと、SNS上では技をまねて動画をアップするファンが増え話題となっている。二段式空砲直蹴撃は元日本代表選手も再現に挑戦し、盛り上がりを見せた。


  アニメ版を担当した有澤亮哉プロデューサーは、登場する技について「めったにできないけど、ちゃんとできる技しか出てきていない」と明かしている。ストイックに練習をすれば現実世界でも再現できるという点が、ファンを魅了する理由でもあるようだ。


  日本国内のみならず、海外でも人気が拡大している『ブルーロック』。若者たちの究極の戦いをぜひチェックしてみてほしい。


■参考動画:https://youtube.owacon.moe/watch?v=JxQxMtAvuAA


(文=ヨークシャー)