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【漫画】不器用なイケメン陶芸家、料理上手の女子高生に出会って創った器は……SNS漫画『すきのかたち』にキュン

2023年08月21日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『すきのかたち』より

 イケメン陶芸家と料理上手の女子高生……という、気になるコンビによるラブコメ漫画『すきのかたち』が8月、X(Twitter)上で公開された。短編ながらドラマが多く、キュンとするシーンにも溢れた良作だ。


(参考:漫画『すきのかたち』を読む


 歩きスマホをしていた女子高生の中川ゆりは、近所に住む変わり者の男性・山田雪とぶつかってしまう。大事に抱えていた「土」をこぼし、立腹して去っていく山田。ゆりが謎に思いながらもお詫びに手製の煮物を持って行くと、そこには陶芸に集中する山田の姿があった。その繊細な手つきとは対照的に不器用な性格の彼だが、料理を食べて表情が和らぐ。そこからゆりは、若くして陶芸家として成功している山田に「料理を作る」というアルバイトを始めることになってーー。


 本作を手掛けたのは、商業誌でも活躍中のプロ漫画家・葉々ねろさん(@haba_nr)。商業漫画を描く際には葉々ねろ(はばねろ)、趣味用に描く際は「タバスコドバ美」と名義を分けているが、辛い物は得意ではないという。そんな葉々さんに本作制作の背景など話を聞いた。(望月悠木)


■古い平屋に住んでいるイケメンを見かけて


――そもそも、『すきのかたち』は2019年に制作した作品だそうですが、どのようなキッカケで描こうと思ったのですか?


葉々:大学4年の卒業制作の作品です。当時は描きたいものがなかなか思いつかず、ゼミの中でも最後尾を突っ走っていました。そんな折、大学から下宿先への帰り道に、本当に作中に出てくる小さな古い平屋にかっこいいイケメンが住んでいるのを見てしまい……。


――そこでビビっと来たと。


葉々:はい。京都にある大学だったのですが、「京都」「平屋」「イケメン」をキーワードにそこからはトントン拍子で進みました。


――「陶芸」という要素はなぜ足したのですか?


葉々:「京都」「平屋」「イケメン」と来たので、何らかの「職人」がいいなと思ったからです。京都の清水近辺に陶芸教室があり、そこで陶芸体験をしたことがあります。加えて、芸大だったので陶芸の資料が身近にあったため「陶芸家にしよう!」と決めました。


――陶芸ほどメインではありませんが、「料理」という要素も大きかったです。陶芸の親和性の高さから「料理」も加えようと思ったのですか?


葉々:実は描いている時は全く意識していませんでした。ネームが完成して、あとから読むと「あれ? 料理と陶芸ってピッタリだな?」と気づきました。実は別の作品でも同じようなことを何度か経験しているので、もっと早く気づく力がほしいです。


■陶芸体験をした時の写真を見ながら描いた


――メインの2人はどのようにして作り上げましたか?


葉々:山田雪はクセのある性格にしようというアイデアが自然に出てきました。雑でぶっきらぼう、子供っぽいというかつっけんどんで素直じゃないキャラクターが好きなので。モデルは2017年くらいの山崎賢人さんです。一方、主人公の中川ゆりは「とにかく素直にしよう」と思いました。


――山田は、喜怒哀楽のほぼ全ての表情が描かれていましたね(笑)。


葉々:表情を描くのが大好きです。描いているキャラと同じ表情をしながら描くと熱量が伝わってそれっぽくなる、と信じて表情は描いています。


――陶芸体験というお話がありましたが、その時のことを思い出しながら、陶芸のシーンを描いたのですか?


葉々:清水で陶芸体験した時の写真を参考にしました。また、大学の陶芸科を見学しつつ、アポを取って卒業生で活躍している陶芸作家さんを訪ねたりもしました。窯焼きの機械などは、その時撮らせてもらったものを参考にしています。


――今現在読み返してみてどうですか?


葉々:やはり作画は色々と思うところがあります。「主人公の体つきが大人すぎるな」とか「目はもう少しクリっとしていてもいいな」とか。ただ、作品から感じる正直さや熱量には今でも胸に来ますね。


――最後に今後漫画制作について教えてください。


葉々:前作の連載が終了後してからは現在までスローペースで仕事をしていました。ただ、9月から新連載が始まり、その他にも複数の連載作を準備中です。よろしければ今後も見てもらえると幸いです!


(取材・文=望月悠木)