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バニャイアが盤石の体制で完全制圧。KTMのホームでビンダーがドゥカティの表彰台独占を阻止/第10戦オーストリアGP

2023年08月20日 22:10  AUTOSPORT web

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フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)/2023MotoGP第10戦オーストリアGP
 8月20日、2023MotoGP第10戦オーストリアGPの決勝レースがレッドブル・リンクで行われ、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が優勝を飾った。中上貴晶は18位でチェッカーを受けた。

 土曜日はやや雲が多く広がる天候だったが、決勝日を迎えたレッドブル・リンクは青空が広がっていた。朝のウォームアップ走行では、1分29秒517をマークしたエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ・レノボ・チーム)がトップで終えている。

 決勝レースでは、ポル・エスパルガロ(GASGASファクトリー・レーシング・テック3)が初日のプラクティス中にスロー走行をし、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)のアタックを妨害したとして、3グリッド降格ペナルティが科される。そのため、予選では13番グリッドを確定したが、16番グリッドからのスタートとなる。

 また、現在ランキング2位のホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)にはロングラップペナルティが科される。土曜日に行われたスプリントレースのオープニングラップの1コーナーでファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)と接触したことにより、多重クラッシュを引き起こしたためとされている。

 ドライコンディションで決勝レースが行われた。スタート後、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)がホールショットを奪った。2番手にブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)、3番手にジャック・ミラー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)とKTM勢が続く。

 4番手にはアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)、5番手と6番手にはムーニーVR46レーシング・チームのルカ・マリーニとマルコ・ベゼッチが続く。2番手スタートのマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)は、大きく出遅れて11番手までポジションを落としている。

 土曜日のスプリントでは、バニャイアに引き離されていたビンダーだが、ファステストをマークしながら食らいついていく。3番手とのミラーとビンダーの差は4周の時点で1秒ほどに広がり、トップ2台が抜きん出る形となる。

 4周目で7位を走行中のマルティンがロングラップペナルティを消化し、13番手で復帰する。そして、4番手のアレックス・マルケスがミラーを捉えて3番手に浮上。さらにベゼッチにも先行を許し、ミラーは6番手まで後退している。

 7周終了時点で、ミゲール・オリベイラ(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)がマシントラブルか、ピットに戻る姿が映像に捉えられ、リタイアとなった。9周目時点でトップ2台は依然変わらないが、3番手と4番手を走るアレックス・マルケスとベゼッチの差は1.7秒ほどに広がっていた。さらにバニャイアもビンダーとの差を広げ始めていた。

 後方では、6番手まで後退していたミラーの背後にアプリリア勢のビニャーレスとアレイシ・エスパルガロが迫る。ミラーはなかなかペースを上げられず、容易く交わされてしまう。

 そして序盤にペナルティを消化し、順位を落としていたマルティンが8番手まで追い上げを図り、背後に迫っていた。そして早々にミラーをパスすると、前を走るアプリリア勢をも射程圏内に捉え、アレイシをパス。そんななか、13周目の3コーナーでジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)が転倒を喫してリタイアとなっている。

 レース折り返し、バニャイアがビンダーとのギャップを1秒以上に広げ、スプリントと同様に独走態勢をじわじわと築き始める。その2.6秒ほど後方では3番手のアレックス・マルケスにベゼッチが仕掛けるも、一歩届かず。

 残り8周、トップのバニャイアは2番手のビンダーを3秒以上引き離しており、悠々と周回を重ねていく。ビンダーはややペースが上がらず、スプリント同様に苦しい戦いを迫られていた。

 ここで、アレックス・マルケスとベゼッチの表彰台争いがまたもヒートアップ。翌周にベゼッチがようやく捉え、3位表彰台圏内に浮上する。さらにアレックス・マルケスのすぐ背後に、今度はマリーニが詰め寄る。

 残り3周で直線でマリーニが並びかけ、その後アレックス・マルケスを交わす。ムーニーVR46レーシング・チームのベゼッチ、マリーニが3番手と4番手と続く形となった。

 バニャイアにはトラックリミット違反の警告が出される。その翌周にはアレックス・リンスの代役として参戦しているイケル・レクオーナ(LCRホンダ・カストロール)とポル・エスパルガロにロングラップペナルティが科されている。

 ファイナルラップ、序盤から他を寄せ付けない走りを見せ、2位と5秒以上のギャップを築いたバニャイアがトップでチェッカーを受けた。2位にはややペースに苦しみもあったが、スプリントに続いてビンダーが表彰台を獲得。

 3位にはスプリントで転倒リタイアとなってしまったベゼッチ、4位にはマリーニとムーニーVR46レーシング・チームのふたりが続いた。師匠であり、レジェンドライダーのバレンティーノ・ロッシが、応援に駆けつけるなかでの表彰台獲得となった。

 マルティンは、ロングラップペナルティを物ともしない走りで追い上げを見せて7位、クアルタラロは8位とシングルフィニッシュで終えている。ホンダ勢の最上位は12位でチェッカーを受けたマルク・マルケスとなっている。