家は一生のうちでも大きな買い物で、なるべく後悔はしたくない。しかし、住んでみたら想定外の事態に後悔……というケースもある。大阪府の60代女性も、一戸建ての住宅を購入したが、ほとんど住まないうちに売りに出したという。
「2021年に1800万円で、ローン無しの即金で中古住宅を購入しました。それまで住んでいたマンションの売却代金でまかなったんです。でも、引っ越して次の朝には後悔しました」
結局、たった4ヶ月半で引っ越した。一体何かあったのか、編集部では女性に詳しく話を聞いた。
「外見はスタイリッシュな建て方でオシャレでした」
購入した家は、もともと住んでいた住人が建てた注文住宅で、きれいなつくりだった。
「築20年で、外見はスタイリッシュな建て方でオシャレでした。1階は特に収納スペースが多く、荷物が多い自分にピッタリだと思いました。玄関横には椿、南天、大好きな金木犀の木があったのも嬉しかったです。駅から徒歩7分くらいの立地で、駅の近くにカラオケ屋もあったのでラッキーでした」
好立地の上に条件に合う住宅で、独身の女性は気ままな一人暮らしを楽しむはずだった。ところが……
「引っ越した日の翌朝、7時頃にいきなり、車のドアを閉める音で目が覚めました。うちの左隣の空き地がリフォーム会社の駐車場で、朝から何台ものワゴン車が資材を積んで出て行くんです。人も乗り降りするし、車が全て出て行くまで1時間くらいの間、ずっとバンバンしっぱなし。夕方には戻って来た同じ車がまた資材を降ろしたり積んだりで……」
女性宅の右隣は同じ戸建て住宅だったが、左隣は工事関係の車が激しく出入りする駐車場だったのだ。駐車場にしていることは聞いていたものの、朝からこんなにうるさいとは想定外だった。
「一日中ではないので……と思いましたが、突発的な音はとても苦手で。私はアルバイトをしていましたが、朝も夕方も家に居る時間に大きな音がしていました。裏に住んでいたお婆さんは『ああ~ね~仕方ないね~』と仰ってましたが。私はきっと音に過敏なのだと思います」
結局、耐えきれず引っ越しを決めたという。
「すぐに売りに出し4か月半で引っ越しました。隣町に住んでいる兄が『良い家なのに!』と驚いて『本当に売るのか?』と何度も聞いてきました」
騒音は平日の朝夕…内見は土曜で「全く気づきませんでした」
耐えきれないほどの騒音に、購入前にはまったく気付かなかったのだろうか。
「騒音がするのは月曜から土曜の早朝と夕方で、内見に行ったのは確か土曜でしたが13時頃だったので全く気付きませんでした。事務所には会社の看板は無く、私も不動産屋に何の会社かは聞かなかったです」
家を見学に行ったときは会社の車は出払っており、騒音に気付くことができなかったのだ。近隣が会社の場合には、業種や普段の様子をチェックしておくことも大事なポイントのようだ。女性は元住人にあえて聞くこともなく、「そんなに気にしていなかったんですね」と振り返る。欲しいという気持ちが確認を甘くさせたのかもしれない。
では、次の住居はどうしたのだろうか。女性は「もともと最上階のマンションに住みたかったので」とのことで、こう明かした。
「今度はマンションの最上階を買いました。ただこれはオーナーチェンジの物件で、担当の営業さんに住人に出て行ってもらえば住めると勧められ買ってしまいましたがこれも失敗です。住人は出て行く気など全然ありませんでした」
オーナーチェンジ物件とは、賃貸物件で住人が住んでいる状態で売買することだ。購入しオーナーになったものの住人は出て行かず、女性が住むことはできなかった。「一か八かのデカい賭けなどよくしたものだと落ち込みました」と苦笑いで語った。
「周りの家からの水を流す音、話し声など色々うるさいです」
その後、しばらくは賃貸マンションに住んでいたというが、今は「親が施設に入ったので空いた兄名義の持ち家」に住んでいるという。結局、空き家となった実家へ戻る形になったようだ。しかし、そこもどうやら「静かな生活」というわけではないようで……。
「大きな道路も無く袋小路の奥にある家なので基本静かですが、せせこましく建てられた建て売りなので、周りの家からの水を流す音、扉を閉める音、話し声など色々ウルサいです。でもまあ、こんなもんだろうと我慢しながら住んでます」
近隣の住宅が近すぎて生活音が聞こえやすいという難点があるようだ。女性の家探しはまだ終わらない。
「やはりマンションに住みたいのでまた引っ越すと思います。足の関節が50歳すぎて悪くなり階段の昇り降りが不便ですし、戸建ては冬、寒すぎて無理ですね」
ではそもそも1800万円の戸建ては……?とツッコミを入れたくなるのだが……。しかし、住宅は住んでみないと分からないことも多い。戸建てを購入当時は希望のマンションが無かった事や、「犬が気兼ねなく飼える」という事から決断したが、階段の不便さ等は住んでから実感したという。いずれにしても、物件は時間を変えて何度も訪れ、自身の身体状態も考慮する必要がありそうだ。家探しの難しさが垣間見えた経験談だった。
※キャリコネニュースでは「家を買って後悔している人」をテーマにアンケートを実施しています。回答はこちらから https://questant.jp/q/BHMJFYM8