Text by CINRA編集部
『第19回 女流義太夫 竹本越孝の會』が8月26日に四ツ谷・紀尾井小ホールで開催される。
義太夫と歌舞伎の「融合」をテーマにした同公演は、『―尾上の涙― 六世中村歌右衛門・中老尾上の舞台』と『加賀見山旧錦絵 長局の段』の2部構成。織田紘二を監修に迎える。
第1部では、歌右衛門と親交があった織田紘二の著作『芸と人 戦後歌舞伎の名優たち』から「一代の女方 六世中村歌右衛門」の抜粋を歌舞伎俳優の中村梅乃が朗読。中村梅乃の大師匠にあたる六世歌右衛門が、女方の大役である中老尾上に込めた思いや、国立劇場自主企画映画『歌舞伎の魅力―女方』に収められた「至芸」を紹介する。
第2部では、尾上と召使い・初が永い別れを迎える場面を上演。浄瑠璃を竹本越孝、三味線を鶴澤津賀花が担当し、中村梅乃が初役を演じる。
【竹本越孝のコメント】
〈竹本越孝の會〉ではこの数年新しいことに挑戦してきました。
前回(令和二年)の、井原西鶴作の浄瑠璃『暦(こよみ)』の復活演奏もその試みのひとつでした。
このたびの第十九回で取り上げる演目は『加賀見山旧錦絵』です。国立劇場元理事の織田紘二先生を監修に迎え、日ごろ親しくしていただいている中村梅乃さんに私の思いを聞いていただいた結果、義太夫と歌舞伎の〈融合〉をテーマにして開催が実現しました。
第一部『尾上の涙』は、織田先生のご著書『芸と人 戦後歌舞伎の名優たち』(演劇出版社刊)から「一代の女方 六世中村歌右衛門」を梅乃さんが抜粋で朗読し、梅乃さんの大師匠にあたる六世歌右衛門さんが、女方の大役である中老尾上に込めた思いをご紹介するとともに、国立劇場自主企画映画『歌舞伎の魅力―女方』におさめられたその至芸もご覧いただきます。
第二部では、尾上と召使い初の主従が永い別れを迎える『長局の段』の前半を私が語り、後半で初に扮した梅乃さんとのとなります。
『加賀見山旧錦絵』は封建制を背景とした不条理な悲劇であり、また女性の心情が集約された大曲、難曲です。ひととき現代とは全く異なる時代に触れていただき、女流義太夫が描き出す時空を楽しんでいただけたらと思います。
素浄瑠璃(人形・俳優が出演しない演奏のみのスタイル)を原則とする女流義太夫と、歌舞伎の女方の演技がどのように融合するか、どうぞご期待ください。
竹本越孝