2023年08月12日 07:40 弁護士ドットコム
女性の下半身を盗撮していた男性に「会社にバレたらクビだよ」などと示談金の支払いを迫り、現金100万円を脅し取ったなどとして、男性3人が恐喝などの容疑で警視庁に逮捕されました。
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報道によると、3人は盗撮犯を狙って示談金を脅し取る「盗撮ハンター」で、同じような行為を繰り返していたようです。
今回のケースでは、女性を盗撮していたとみられる男性に対して「最低100万円はほしい」「会社にバレたらクビだよ、人生台無しになるよ」などと脅迫し、支払いを迫ったといいます。
弁護士ドットコムの法律相談にも、盗撮ハンターやそれと思しき人物に脅された盗撮犯側から相談が寄せられています。
「先日盗撮ハンターに捕まり、スマホを没収され示談金も支払わされました。2時間ほどスマホをどこかに持っていかれました。過去の盗撮映像を警察に流され、後日逮捕されるかもと不安です」(盗撮犯)
「出かけた際に、恥ずかしながら盗撮をしてしまいました。その時に被害者の旦那と名乗る人物に捕まってしまい、話し合うために連れて行かれました。警察に連れて行かれるのが嫌で、自分から被害者本人への謝罪、誓約書、示談金、自分と旦那の目の前でSDを破壊する事で示談という事になりました」(盗撮犯)
もし、盗撮犯が盗撮ハンターに脅された場合、どのように対応するのがベストなのでしょうか。杉浦智彦弁護士に聞きました。
——盗撮直後に盗撮ハンターに脅された場合、どう対応するのが良いのでしょうか。その場で自分で警察に自首するべきでしょうか。
もちろん、盗撮自体は犯罪です。しかも、2023年7月からいわゆる「性的姿態撮影等処罰法」が施行され、罪名も「性的姿態等撮影罪」となり刑罰も重くなりました。
そのような状況下で、盗撮ハンターに「会社にバレたらクビだよ」と脅されると、不安でお金を払ってしまいたくなる気持ちも理解できるところです。
しかし、自ら警察に出頭した盗撮事件は、逮捕されないことが多いですし、逮捕されなければほとんど報道されません。
また、初犯であれば、罰金で終わることも多く、公開の法廷で処罰されるわけではないので、傍聴を通じて知られることもないです。そのため、警察が介入しても、結局は会社に知られないまま終わることがほとんどなのです。
仕事や家族を守るためにも、その場で警察に連絡して自首をして、警察に介入してもらうことが、実は有効な手段だといえます。お金を脅し取るのは恐喝罪ですから、その時点で相手の不当な要求も止まります。
ただ、冷静な判断は難しいでしょうし、また確実に逮捕されないとまでは断言できません。その場では、「弁護士に相談させてほしい」ということを伝え、できる限り早く弁護士に相談することを検討すべきです。それが思いつかなくとも、最低限、個人情報(とくに住所・職場の情報)は伝えないようにすべきです。
——盗撮ハンターの示談金要求に乗ってしまった場合、考えられるリスクはありますか?
やはり、個人情報や職場の情報を伝えてしまっている場合は危険です。「家族や会社に伝えるぞ」ということで、さらにお金を要求されてしまうこともあります。
実際に、一度お金を支払ったあと、何度も請求されたという相談がありました。会社などに発覚するリスクを避けるためにお金を払ったのに、かえって別のリスクを抱えることになるのです。
もし、個人情報を伝えてしまい、そのあとも請求が続くようなら、すみやかに弁護士に相談すべきだといえるでしょう。
【取材協力弁護士】
杉浦 智彦(すぎうら・ともひこ)弁護士
神奈川県弁護士会所属。刑事弁護と中小企業法務を専門的に取り扱う。刑事事件では、特に身柄の早期解放に定評がある。日本弁護士連合会中小企業法律支援センター事務局員としても活躍。
事務所名:弁護士法人横浜パートナー法律事務所
事務所URL:http://www.ypartner.com/