パチンコ、パチスロには定期的に人気機種が出るが、ずっと店に設置されていることはない。一定期間が過ぎれば撤去されるものだ。レトロ台を集めたゲームセンターなんてものも存在するが、基本的には昔好きだった台をパチンコホールで遊ぼうと思っても難しいのだ。(文:松本ミゾレ)
設置期限があるから古い台は撤去される
先日、5ちゃんねるに「復活してほしいパチンコ&パチスロ」というスレッドが立っていた。パチンコ業界は今のSDGs事情とか完全無視する勢いで、設置から数年で撤去しなければならないとするルールが存在している。
設置期限が存在する理由はいくつかあるが、出玉性能に関する法律や業界ルールが定期的に変わるので、古い台がいつまでもホールに残らないようにする、などといった事情である。
なのでどんなに人気の高い機種でも、設置期限を過ぎれば撤去が原則となり、これに従わないホールは各メーカーから一定期間の新台の導入不可などのペナルティが課せられる。まあ、市場に出る多くの機種は不人気なので期限を待たずに撤去されてしまうが。
こう考えると、半導体不足も叫ばれる昨今において、随分悠長というか、資源の無駄遣いをしているものだと思えてくる。
ただ、ホールがずっと新台を導入しないまま、いつまでも同じものを設置し続けていると、メーカーは新機種開発ができないし、生産を受注している下請けの工場の経営にも影を落とすことになる。長期的に見ればユーザーの“飽き”を招いて業界全体が傾くことも考えられる。機種ごとに設置期限は、勿体ない気もするが必要なルールなのだ。
話が横道に逸れてしまった。ちょっとこのスレッドに挙がっている、復活が熱望されている機種についての書き込みを紹介していきたい。
「初代『リングにかけろ』」
「初代『巨人の星』と『ストリートファイター2』と『メフィスト』」
「『ガッツだ森の石松』。万枚3回ぐらいあったから思い出の機種や」
「『旋風の用心棒』」
「『モンスターハウス』、『フルーツパッション』、『ミサイル776』、『ファインプレー』、『ホー助』」
「『綱取物語』」
と、既に撤去されて久しい(20年から30年ぐらい前?)機種の名前が色々と挙げられている。パチンコに関しては、特に古い名前が目に付く。いずれも人気タイトルなので、その大半は続編も登場している。しかし、ことパチンコ・パチスロに関しては人気機種の続編ほど地雷が多いものはない。
いざ復活されても大抵余計なものがついているけど…
人気のある機種ってのは常々、ファンから惜しまれつつ撤去されていくもの。当然メーカー側も人気ぶりを把握しているので、「さらにパワーアップ!」とか言って続編をリリースすることがほとんどだ。
今やもう、全くのゼロの状態から新しい機種を開発するメーカーなんてほとんどない。大体は過去にあった他の版権タイアップ機だの、過去に自社が出してウケが良かったオリジナルコンテンツからの引用が、機種開発の前提になっている。
だからせっかく昔出ていたものと見た目が似ている続編が出たとしても、いざ触ってみると中身は別物ってことがマジで多い。
それこそ今年最大のヒットとなった『スマスロ北斗の拳』は、初代『北斗の拳』のゲーム性を可能な限りトレースし、さらに今のご時世に合った上位ATも搭載しているので旧来のファンにも受けている。
が、これをリリースしたサミー自身は、ここに至るまで何度も何度も「初代復活!」みたいな煽り文と共に、北斗を濫用した台を作りまくってきた。だんだん初代をインスパイアするみたいなことすら忘れてしまい、ほんの2年前まではもう誰もサミーの北斗に期待なんかしなくなっていたのである。
『スマスロ北斗の拳』がウケたのは、マジで原点回帰して、余計なものを足さないことに注力したためだ。
「初代をもう一度打ちたいが、設置期限が過ぎてしまった今ではそれも叶わない」というオールドファンの要望にちゃんと応えたことが、大ヒットの要因とみて間違いない。それに、初代を打ったことがない若い人たちも「設定が入るから仕方なく」とか言ってちゃんと打っている。
稼働が高くなればホールもそのコーナーに設定を入れなければいけなくなるので、良い相乗効果が生まれている。
が、サミーがこうやって大逆転したのはあくまでも超絶レアケース。大都技研の『吉宗』は、初代人気にあやかってこれまで何度も後継機が誕生してきたが、魅力度ではオリジナルに敵わない。
それこそサミーにも『獣王』という看板タイトルもあるが、こちらも続編は出るには出るが……といった状況。人気機種の後継機って、大体余計な演出が追加されてたり、出玉性能が下がっていたり、初代にあったアツいポイントが軒並み弱体化したりということが本当に多い。「ガチファンほど打たないよね」ってなっちゃう部分が割と目立つのだ。他のジャンルもそうだけど、やっぱり初代越えってかなり難しいということなんだろう。