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バスが渋滞で遅れて観光客ブチ切れ→「特急券代を返金しろ!」とのクレームに対応するも納得いかない男性

2023年08月12日 06:10  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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客と直接かかわるスタッフは、自分ではどうにもならない苦情にも対応しなければならないのが辛いところだ。

関東圏に住む50代前半の男性は、今から10年程前、ゴールデンウイーク中にパニック状態のクレーム客の対応をした。バス会社に勤務していた当時、「綺麗な花で有名な公園」でバス乗車券の販売や、公園と駅を結ぶシャトルバスの乗客誘導などを行っていた。

「その頃に初めてテレビ番組で、綺麗な花が素晴らしい公園として紹介されたんです。ゴールデンウイークと相まって、かなりのお客さんが押し寄せました。近くにできたばかりの商業施設の混雑とも重なり、周辺は大渋滞になりました」

当然、バスも渋滞に巻き込まれてなかなか到着しなかった。バスを待つ客の苛立ちは募り、ついに駐車場で誘導整理をしていた男性に怒りの矛先が向かった。編集部では男性に取材を申し込み、クレーム対応の一部始終を聞いた。

「何でバスが来ないんだ!何とかしろ!」大勢の客から怒号が飛び交う

「公園はそれまで大して注目されていませんでした。急に人が押し寄せてきたので人手が足りず、バスも不足していました」

急な混雑にバスも人員も補充が間に合わず、完全にキャパオーバーだった。

「何でバスが来ないんだ!何とかしろ!と、かなりの人数から怒号が飛び交っていました。私は中年の男性客に制服を引っ張られて『こっちに来て、ちゃんと誘導しろ!!』と、そのままバス乗り場へ引きずられるように無理矢理連れて行かれたんです。半ば暴力に近い行為でした。今思えば、警察を呼べば良かったと思いますが……」

バス乗り場に着くとそこでも他の客から怒鳴られた。誘導員に怒鳴ったところでバスの遅れはどうにもならないだろうが、男性は客の苛立ちを受け止める立場になってしまった。

「予約した特急電車に乗れないじゃないの!金返せ!」と詰め寄られる

それだけではなく、さらにやっかいなクレームが持ち上がった。

「今度は中年女性が『予約した特急電車に乗れないじゃないの!金返せ!』と他の社員に絡んでいました。助けに入った私は『そのような返金対応はしておりません』と説明しましたが、『バスが来ないのが悪い。バス会社の責任だ!』とその中年女性は一歩も引きません。バス乗り場で1時間も詰め寄られました」

そう言われてもバス会社が鉄道運賃を預かっているわけではないので要求は筋違いだろう。対応に苦慮した男性は上司に相談するも「そんな返金出来ないからなんとかしろ!」と言われてしまう。

「結局、私が『特急指定席料金分を返金する』という提案をして、返金して落ち着きました。客に購入済みの指定席特急券を見せてもらい、支払ったのは指定席の差額500円を4人分で2000円です。お金はバス会社の乗車券の売り上げからで、クビ覚悟で独断でやりました」

なんとかその場を収めることができた男性。連休後半にはバスの手配が出来るようになり、かなり落ち着いたというが、大変だったようだ。

バス運転手から「俺達の稼ぎを渡しやがって」と言われ

この対応を上司に事後報告すると、その場をなんとか収めたことについて「よくやった!」とねぎらいの言葉をかけられたという。しかし、男性としては上層部に不信感が残った。

「報告したとき、その場には上司よりもっと上の役職者もいました。私から見れば逃げて下の者に押し付けていた感は否めません」

また、上司を頼れずなんとか自分で収束を図ったものの、クレームを付けたもの勝ちのような結果になったことにも納得していない。

「絡まれていた社員を助けて決着をつけたのは私なので、当時の対応に後悔はありません。ですが、私は今でも納得はしていません。バスと鉄道は関係ありませんしね。もっと残念なのは、後日この話を聞いたバス運転手から『俺達の稼ぎを渡しやがって』と言われたことでした。これは悲しかったです」

と寂しげに語った。クレーマーに対して言いたいことを聞くと

「これはどの業種にも言えることですが、自分達が思うようにならないだけで、クレームを入れるのは止めてほしいです」

とひと言。また、「旅慣れている人ならバスが遅れるのはわかっているので、普段から近場でも良いから出歩いて、旅のマナーを学んでほしいですね」とも語っていた。

今年の夏休みは前年と比べて各地で混雑が予想されるが、受け入れ態勢が整っていない観光地もあるかもしれない。思いやりやマナーを頭に置いて旅行を楽しんでほしい。

※キャリコネニュースでは「あなたが目撃した衝撃クレーマー」をテーマにアンケートを行っています。回答はこちらから。https://questant.jp/q/BNPYRIJ9