BMWは、今季2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPクラスにエントリーしているドライバーのうち、ひとりまたは複数名を来年のWEC世界耐久選手権でチームWRTが運営する新しいファクトリー・ハイパーカークラス・プログラムに移籍させる可能性を排除していない。
2024年に世界選手権と北米シリーズの両選手権に各2台の『BMW MハイブリッドV8』を投入するドイツのマニュファクチャラーは、デュアル・シリーズへの取り組みに最低10人のドライバーを必要としている。
ヨーロッパのテストでは、これまでに12人以上のドライバーがLMDhカーでのテストを行っているが、両シリーズのラインアップはまだ固まっていない。これに関連してBMW Mモータースポーツのボスであるアンドレアス・ルースは、IMSAの現役ドライバーの経験を活用することがWECの新興チームにとって有益になる可能性があることを認めた。
「我々がそのことを検討しているのは確かだ」と、ルースはSportscar365に語った。
「誰がWECドライバーで誰がIMSAドライバーになるかは、まだ決まっていない。しかし1年間(IMSAで)マシンを走らせ、テストだけでなくレースコンディションで走らせた経験をWECに持ち込むことも考えている」
「しかし一方で、ドライバーをつねに入れ替えたくはない。彼らは、チームスタッフやエンジニア、メカニックなど、あらゆる人たちと一緒に仕事しなければならないためだ」
「だから賛否両論がある。我々は最終的により多くの長所と短所を見て、そこから決断を下す必要がある」
アメリカ人のコナー・デ・フィリッピが、北米シリーズを離れてWECチームに移籍する可能性は低いが、彼のチームメイトで今年からウェザーテック選手権にフルタイム参戦しているアウグスト・ファーフス、フィリップ・エング、ニック・イェロリーの3人にはその可能性があると考えられる。
ルースは、来年のウェザーテック・チャンピオンシップの“ミシュラン・エンデュランス・カップ(デイトナ24時間、セブリング12時間、グレン6時間、プチ・ル・マンで構成されるシリーズ内の耐久カップ)”に、WECドライバーの何人かを起用することについてポルシェと同じような哲学を描くと語った。
「これは私の希望であり、可能であるべきだと思っている」と同氏。
「WECだけを走る6人のドライバーとIMSAの4人のメインドライバーがいて、さらに耐久レースのために5人目、6人目のIMSAドライバーがいる必要はない。(IMSAの)耐久イベントではWECのドライバーを補充することができることを願っている」
■所属ドライバーがレースを欠場することは避けたい
元アウディドライバーのロビン・フラインスの加入によって現在22名となったファクトリー登録ドライバーに、BMWはさらなる人材の追加を行うのかとの質問に対し、ルースは様子を見ていると答えた。
また、彼はウェザーテック選手権とWEC、さらにはニュルブルクリンク24時間やスパ24時間といった主要なスポーツカーイベントが衝突することで、4人のフルシーズンIMSA GTPパイロットが理論上、同シリーズだけに限定されることを認めた。
「今は様子を見なければならない。私たちは、それについて検討する必要がある」と語ったルース。
「しかし、チャレンジングなことなので、可能であれば(彼らを)移籍させることができるかどうかを見なければならない。だが、レースを欠場するドライバーを出したくないという気持ちもある。それを望む者はいない」
「例えば、イベントの日程が重なって3人のうち、ひとりが1レースを欠場したとする。そのクルマが競争力を持ち、チャンピオンシップで優勝したとき、ふたりのドライバーがチャンピオンになるが、もうひとりのドライバーはその場に立ってチームメイトに拍手を送ることになる」
「それは我々が本当にやりたくないことだ。だから、ドライバーたちがレースを欠場することは本当に避けたいことなんだ」