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中村京蔵、フランス古典悲劇『フェードル』を歌舞伎の様式美をベースにした和様式で上演

2023年08月10日 13:10  CINRA.NET

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Text by CINRA編集部

舞台『中村京蔵 爽涼の會「フェードル」』が8月19日、20日に半蔵門・国立劇場 小劇場で上演される。

中村京蔵主催の自主公演としては最後の公演となる今回は、ギリシャ神話の「ヒッポリュトス」を原典としたジャン・ラシーヌによるフランスの古典悲劇『フェードル』を歌舞伎の様式美をベースにした和様式で上演。継母の邪恋をテーマに、継子や恋敵との相克、破滅が描かれる。翻訳は岩切正一郎、演出は大河内直子が担当。

1980年に蜷川幸雄演出のシェイクスピア『マクベス』初演で、小田島雄志の翻訳本のまま、衣裳、かつら、大道具、小道具が全て和様式であることに衝撃を受けたという中村京蔵。その後、2015年に蜷川幸雄が『NINAGAWA・マクベス』を配役を一新して再演することになった際、魔女役のオファーを受け蜷川演出を学ぶ日々が始まったという。『フェードル』を演じたいと長年模索していた中村は、『NINAGAWA・マクベス』の経験を踏まえ、『フェードル』は歌舞伎をベースとした和様式での上演が可能であるという確信から今回の実現に至ったという。

フェードル役を中村京蔵が演じるほか、テゼ役に池田努、イポリット役に須賀貴匡、アリシー役に植本純米、エノーヌ役に景山仁美、テラメーヌ役に青山達三、イスメーヌ役に小林亜紀子、パノープ役に中村梅乃、テゼの太刀持役に醍醐晴がキャスティング。チケット現在販売中。

【中村京蔵のコメント】
中村京蔵爽涼の會「フェードル」公演のご案内

この度は、ラシーヌの「フェードル」に挑戦させて頂きます。この戯曲はフランス古典悲劇の傑作とされ、所謂、継母の邪恋の物語です。そこに政争と、更にはギリシャ神話の世界がベースにありますから、神の存在が大きく絡んできます。
今回は歌舞伎をベースにした和様式での上演に踏み切りました!まことに大胆な企画でございますが、何卒鷹揚のご見物を賜りますやう伏してお願い申し上げます。

【池田努のコメント】
今回私が演じるテゼという王の役は、圧倒的なエネルギーに満ち溢れています。愛も怒りも魂も何もかもが大きく、そのスケールに自分を引き上げるべく奮闘しております。また「ギリシャ悲劇」と「歌舞伎」という和の世界観の融合は、演劇でしか成し得ない想像力の飛躍です。その新しく刺激的な世界に生きられることは、まさに役者冥利に尽きる体験です。この貴重な機会を頂けたことに心から感謝しております。一体どのような作品となって輝くのか、今から楽しみで仕方ありません。これまで目にしたことがないような斬新で美麗な演劇が生まれると確信しております。どうか皆様の温かいご支援とご協力を、よろしくお願い致します。

【須賀貴匡のコメント】
近年の日本演劇においてギリシャ悲劇という壮大で重厚な芝居が、年々減っていってしまっていると感じております。今回はそんなギリシャ悲劇に日本が世界に誇れる伝統芸能、歌舞伎の様式を取り入れるという、新たな試みの企画に参加できる事を嬉しく思っています。どうか、皆様のご支援の元このような作品を美しく鮮やかに立ち上げられることが出来たら幸いです。何卒宜しくお願い致します。

【植本純米のコメント】
フランス戯曲の名作『フェードル』を歌舞伎スタイルで上演!…この画期的な企画を中村京蔵さんは自主公演でなさろうとしてます。(それがどんなに大変なことか)
美術・衣裳・鬘・小道具...全てが本物志向、会場は天下の国立劇場です。
(ちょっと心配になります)でも京蔵さんの経験やノウハウ、実力や人望、そして何より情熱が必ずや公演を成功に導くでしょう。本物揃いの中に私のような雑草女方を投入してくださる勇気にも感謝してます。かなり微力ですが雑草なりに精一杯つとめさせて頂きます。皆様のご支援とご協力を賜りますよう心よりお願い致します。(ここ大事)

【景山仁美のコメント】
乳母エノーヌはフェードルの秘め隠している病の原因を知ろうと必死になって問い詰めます。
この告白により取り返しのつかない悲劇が生まれていくのですが、エノーヌはフェードルへの愛情が非常に深く、忠実で献身的で母性愛たっぷりの...フェードルの為ならどんな恐ろしい事でもやってしまう『偏愛』の申し子であります。こんな愛情も有るのだと驚きました!ギリシャ悲劇の台詞は神話的な形象や比喩が多く美しいのですが日常には無い『神々との交流』が沢山出て来ます。神様にいつも問いかけているんです!このダイナミックな骨太の作品の中で私は『偏愛』と『神々の交流』という課題に挑戦します。「フェードル」は最も人間臭い真実の物語です。

【青山達三のコメント】
フランス古典劇に出演するのは初めてです。フェードルを初めて読んだ時、私の役テラメーヌを含めどの役も台詞の量が多くて圧倒されました。言葉、言葉、言葉、ですね。しかし、言葉を語ることこそが舞台俳優の役目でもあります。1677年に初演されて以来今日までテラメーヌを演じてきた先輩方すべてに敬意を表し、非力ながら頑張りたいと思います。

【小林亜紀子のコメント】
稀有なご縁で学生時代の師匠、中村京蔵さんの「爽涼の會『フェードル』」に出演させていただくことになり、不思議なめぐりあわせに驚きつつ、感謝しております。景山さん以外は初めてご一緒させていただく方ばかりで、新たな出会いにワクワクしつつとても緊張しますが、フランスの古典悲劇を和様式での上演ということで、続けてきた日本舞踊が活かせたらと思っております。私にとっては初めてのフランス古典悲劇作品!京蔵さん、そしてご一緒する皆さまのお力をお借りして、真夏の本番に向け、古典悲劇らしい濃密な芝居ができますよう、精進、前進していきたいと思っております。

【中村梅乃のコメント】
演出は歌舞伎の時代物の様式を踏まえるとは申せ、初めてフランス古典戯曲に挑むにあたりましては今から緊張と不安でいっぱいです。ただ今台本とじっくり向き合っておりますが、今までは客席で聴くだけ、戯曲を読むだけだったラシーヌの勁く美しいコトバを、自分が口にする…。嬉しくもまた難しい体験です。歌舞伎のそれとは全く違うセリフにどれだけ血を通わせられるかが目下の課題でございます。主演の京蔵さんはじめ、経験豊富、百戦錬磨の共演者皆様にくらいつき、自身の可能性を少しでも広げられるよう精一杯勤めたく存じます。皆様のご支援お励ましを、私よりも切にお願い申し上げます。

【醍醐晴のコメント】
幼い時から憧れていた太刀持のお役をついに演じさせていただける機会をいただいた事にとても感謝しております。初めての太刀持が歌舞伎ではなくフランス古典という事で不安は少しありますが、それ以上に新しい世界に足を踏み入れる事に胸をふくらませております。セリフ・動きが少ない役どころでどのように表現すればいいのか、まだ模索中ですが、周りの皆さんの空気感を感じ自分なりに表現できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします‼︎