令和の就活においては、学生に内定を出す際に親の承諾を得ているかを確認する“オヤカク”を行う企業が増えているそうだ。しかし、まだオヤカクという言葉がなかった平成の時代に、親の過干渉によって就活に苦戦した人もいる。2008年卒の30代後半の女性は、
「(自分が内定を受けた)IT系中小企業は、母にとって許せない企業だったため、罵詈雑言を受けて内定辞退した」
「2007年当時は“オヤカク”自体がなく、親が就活妨害するという事例があっても笑いごと扱いされていたと思います」
と自身の就活エピソードを振り返った。(文:福岡ちはや)
「母は夏に出た内定を『早すぎておかしい』と言い……」
当時、母親の過干渉に悩んでいた女性は、「就活サイトや合同企業説明会の相談窓口に悩みを打ち明けていました」と明かす。しかし、いずれにおいても打開策となるようなアドバイスはもらえず、
「『お母さまが気に入った会社が見つかるまで頑張ればいいじゃない?疲れるけど、あなたが大きいところどこ受けてもダメだとわかれば、お母さまも期待しなくなるよ。そのとき好きな会社に入ればいいだけ』『親の同意なしの就職はやめたほうがいいでしょう。親御さんが地元以外の就職に反対する理由には、一緒に晩ごはんを食べたい、毎日顔を見て暮らしたいという事情があるのかもしれません。あなたがなぜそこへ入りたいか心を整理してみれば、親御さんを説得する言葉が見つかります』などと母寄りの回答ばかりもらいました」
と女性は肩を落とした。
「就職の相談員の方は、我が子を大学まで通わせる親は社会常識のあるまともな大人しかいないと思っており、就活の妨害をされる私が悪いとでも思っていたのでしょう。しかし、母は一度怒ると、私が要求を飲むまで罵詈雑言の嵐で、説得以前に話し合いすら不可能な状態でした」
また、どこで見聞きしたのか、女性の母親の就活に対するイメージは極端に偏ったものだったようだ。女性は当時を思い出し、
「何度説明しても、母は『大学を出る人は誰でも大手企業に入れる』と思っており、『大手企業の内定がないのは最初から(採用試験を)受けていないだけ』と思い込んでいたのです。また、就活自体卒業の直前にやるものだと思っており、夏に出た内定を『卒業まであと半年以上もあるのに、早すぎておかしい。あんたを雇って会社を儲けさせる気だ!』と騒いでいました」
と呆れ返る。その後、女性はなんとか母親のお眼鏡に適う一部上場企業に入社した。しかし、その会社の実態はブラック企業だったため、女性はわずか3か月で退職する結果となってしまった。女性は、
「母の過干渉や大学の就職課に騙されたのもありましたが、私自身が周りの言葉を聞きすぎたのが失敗でした」
と敗因を綴る。今後オヤカクが当たり前になるにつれ、女性のような就活生が増えないことを祈るばかりだ。
※キャリコネニュースでは「あなたの就活エピソード」をテーマにアンケートを実施しています。回答はこちらから。 https://questant.jp/q/UYGKGH1J