「喫煙所での会話が根回しになって物事が進むのはおかしいと訴えたとき、『お前も吸えばいい』と言われました。最低な経験があるので、喫煙者は嫌いです」
こう不満を明かすのは神奈川県に住む営業職の30代女性だ。4度の転職経験(いずれも営業で正社員)のなかで、何度も喫煙者から嫌な思いをさせられてきたという。
一体、喫煙所でどんな会話が交わされ、勝手に物事が進行していたのだろうか。編集部では女性に取材を申し込み、話を聞いた。
「喫煙者の先輩や上司たちは、常に喫煙所にいるか外回りだった」
女性が営業職として新卒入社したのは2006年のこと。喫煙所は廊下の端のオープンスペースに設けられていた。新卒20人の中で成績トップだったという女性だが、喫煙所があるおかげでこんな不利益を被っていた。
「喫煙者で成績が悪い同期と比べると社内調整にとても時間が取られました。喫煙者の先輩や上司たちは常に喫煙所にいるか外回りだったので、時間をとるのが本当に難しくて」
喫煙者だから成績が良くなるといったことはなかったが、喫煙者だけのコミュニケーションの場があり、たばこを吸わない女性は上司と話す時間がなかなか取れなかったのだ。
それから5年後に入社した3社目の会社には、休憩室の隣に喫煙ルームがあった。喫煙者の先輩に電話を取り次ぐためにわざわざ喫煙ルームまで行かなければならなかったのも不満な点だった。
「電話を取り次ぐと『休憩中なのに…』と文句を言うにも関わらず全く戻ってこなかったり、たまたま席で私と同僚がちょっとおしゃべりしていただけで煩いと言ってきたり。最低な先輩がたまたま喫煙者だっただけですけどね」
「お前も吸えばいい」と言った先輩は「社長にめちゃくちゃ怒られてました」
諸々の不満を語った女性だが、とりわけ「喫煙所での会話が諸々決定打になっていたとき」に、強い怒りと嫌悪感を覚えたという。どんな会話が交わされていたのだろうか。
「新卒入社の会社と4社目とも、社内事情での数字の駆け引きや、経営陣への説明の口裏合わせなどが喫煙所で行われていました。一番ブチギレたのは、新卒のときです。大きなクライアントの引継ぎを、喫煙所で『担当してみたいです~』と言うだけで話がまとまっていたことがありました。即社長に報告し、経営会議の議題にしていただきました」
まさに喫煙者だけのコミュニティで、その場にいなかった人は立つ瀬がない。不公平な状況に、女性は「喫煙所での会話が根回しになって物事が進むのはおかしい」と訴えたが、先輩に「お前も吸えばいい」と言われてしまう始末だった。
しかし女性は、相手が先輩であろうと臆せずはっきりとこう言い返したという。
「財布にも身体にも悪いとわかっているものを二十歳過ぎてからわざわざ始めるほど頭悪くないのでたばこは吸いません。それで本当に仕事に支障が出るような会社なら辞めることが正解だと思います」
そのやりとりは社長の耳にも入ったらしく、結局
「先輩は社長にめちゃくちゃ怒られてました。社長は非喫煙者なだけでなく、嫌煙家でもありましたので」
と、喫煙者本位の反論は通らず終わった。
現在はまた別の会社で働いており、社内では禁煙だが「40代から50代くらいのおじさんたちはわざわざ社外の喫煙所まで出てたばこを吸っています」と呆れたように語る。
ただ、基本テレワークの働き方で、連絡手段もスマホやWeb会議ツールが浸透した現在は「打ち合わせの時間を守ってくれたら特に問題はないので全く気になりません」とも明かし、もう職場の喫煙者へのストレスは無いようだ。
※キャリコネニュースでは「たばこ休憩について思うこと」をテーマにアンケートを行っています。回答はこちらから。https://questant.jp/q/UO4Y7MO8