2023年07月26日 17:31 弁護士ドットコム
裁判当事者を傷つけるネット投稿などをしたとして弾劾裁判にかけられている仙台高裁の岡口基一裁判官(職務停止中)が2024年4月で裁判官ではなくなることが分かった。
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7月26日にあった弾劾裁判の第8回公判で、再任希望を出さなかったことを弁護人が明かした。下級裁判所の裁判官の任期は10年とされており、2014年4月に再任された岡口裁判官は来春で任期が満了する。
裁判官は訴追されると辞任できなくなるが(裁判官弾劾法41条)、任期が満了すると弾劾裁判は終わるとみられる(裁判官弾劾裁判所規則123条3項1号)。2008年の麻生太郎首相時代にも「その任期を満了し裁判官の身分を喪失した者を弾劾裁判により罷免することはできないものと考えられる」との答弁がある。
なお、岡口裁判官は分限裁判で戒告の懲戒処分を2度受けている。再任希望を出しても再任されなかった可能性が高く、もともと来春までに弾劾裁判の結論が出るかどうかが注目されていた。
岡口裁判官は書面を通じ、「一連の投稿等により刑事事件の被害者遺族である岩瀬様ご夫妻及びそのご親族に対し、不快な思いをさせたことについて責任を取るということにございます。ここに、改めて反省と謝罪の意を表明致します」と述べた。
一方で、自身の投稿の問題性は認めつつ、「弾劾裁判所に訴追され罷免されることが正当であるとは考えておりません」とも述べ、表現行為を理由に裁判官を罷免することは、裁判官の独立や表現の自由などの観点から避けるべきとも記した。