栃木県のモビリティリゾートもてぎで7月22~23日に行われたファナテックGTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイ・AWSの第7・8戦。木村武史/ケイ・コッツォリーノ組のカーガイ・レーシングは昨年王者の証であるカーナンバー『1』をまとって2023シーズンに挑んでいるが、今季はジャパンカップのタイトルがかかる4ラウンドのうち、鈴鹿を他レースとのバッティングにより欠場したこともあり、タイトル戦線に加わることはできていない。
今年はコメット・レーシングの7号車フェラーリに加え、マエザワ・レーシングの555号車フェラーリのメンテナンスも受け持つカーガイは体制面でも変化があっただけでなく、既報のとおり今季初陣となった富士でデビューさせたフェラーリ296 GT3に変え、このもてぎラウンドにはフェラーリ488 GT3で参戦。このように、タイトルを獲得した昨年とは状況が変わるなかで“もがいている”カーガイ陣営だが、もてぎでは土曜の第7戦と日曜の第8戦の間で、“発見”があったのだという。
「昨日の夜、クルマのセットアップで、とある発見がありました。そして『それがすべて』だったんです」と第8戦を終えたコッツォリーノは明かす。
「その部分を今朝から導入したら、コースインするラップからものすごく調子が良くて『これは、いける』とエンジニアに伝えました」
セットアップに関する“発見”前に走行した予選で得たグリッドは18番手。コッツォリーノは、コールドタイヤのオープニングラップで、プッシュして順位を上げることをイメージしていたという。
実際、第8戦でのスタートでは最初の4つのコーナーでみるみる順位を上げたが、直後にアクシデントに巻き込まれてしまう。
「5コーナー立ち上がりまでに、7番手くらいまで上がったかなと思います。そうしたらそこでスピンしているクルマがあり、僕も接触を避けるためにちょっとコースをはみ出しながら抜いていったのですが、そこからコースへと戻るタイミングで横にいたクルマと自分の右リヤタイヤが接触し、バーストしてしまいました」
これで1周目に想定外のピットインを強いられた1号車は、勝負圏外に。この日はニュータイヤでスタートしていた1号車だが、これにより右リヤにユーズドを装着してコースに復帰することとなってしまう。
さらに悪い流れは続き、ピットウインドウのぎりぎり終盤を狙ってルーティンピットへと飛び込むも、わずかに『6秒』間に合わず、ペナルティも受けてしまった。
しかし、そんなレースを通じてカーガイ陣営は大きな手応えを感じていたようだ。コッツォリーノは次のように述べている。
「結構なマイレージの中古タイヤを1本履いて走りましたが、トップと変わらないペースで走れましたし、4本ニュータイヤでクリアラップが取れたら、おそらくファステストも出せたのではないか、というくらい今日のクルマは決まっていました。後半の木村選手も、昨日のレースペースよりコンマ5秒以上、ベストラップでは1秒以上速いタイムを出して走っていましたので、クルマの方向性は見えましたね」
コッツォリーノいわく「ちょっと手遅れかもしれないですが(苦笑)、このレースで『見つけた』ので、次の岡山はかなり期待できると思います」とのこと。8月19~20日に控えるジャパンカップ最終ラウンドでは、いよいよ“王者一閃”が見られそうだ。