しかし、女性の友情を描いたSATCの出演者が、舞台裏で揉めており、共演拒否。なんとも皮肉なニュースが飛び込んできました。作品中でサマンサを演じたキム・キャトラルとキャリーを演じたサラ・ジェシカ・パーカーが不仲であることが原因だそう。実際、SATCの続編、『And Just Like That…』にキムは出演していません。
残念だなと思う理由が、二つあります。まず、一つめはキムの不在が、作品全体に与える影響について。『And Just Like That...』では、LGBTなど多様性を取り入れていますが、『SATC』時代は大都会で仕事に成功した白人女性が、オトコとくっついたり別れたりし、食事をする場所で下ネタだって話す軽めのお話でした。彼女たちは毎週のように集まり、長い時間を共に過ごしていますが、“鉄の掟”で助け合っているかというとそうも言い切れない。誰か1人に何かピンチがあったとき、率先して飛び込んでいくのは、キム演じるサマンサだけ。あとの2人は「サマンサが言うなら……」という感じで、あまり自発的に動かない。つまり、4人の友情を支えているのは、サマンサなわけです。
二つ目の理由は、仕事とプライベートの線引きがないこと。「ELLE」が2021年8月10日に配信した記事によると、サラとキムの不仲の原因の一つは、ギャラだったそう。2004年に英国のトーク番組「Friday Night with Jonathan Ross」に出演したキムは、ギャラアップの交渉をしたものの、制作側からいい返事はもらえなかったと、“賃上げ”に失敗したことがシリーズ終了の理由であることを明かしています。しかし、シーズン2になると、サラはエグゼクティブプロデューサーになったことを理由にギャラがアップ。キムも再度交渉したことで、サラだけでなく、他の2人との関係も悪くなってしまい、「食事の際に、誰もキムの隣に座ろうとしなくなった」と「テレグラフ」は伝えています。それなら、2人の女優もギャラ交渉をすればいいのでは? と考えてしまうのは私が外部の人間だからで、おそらく、お金の他にもいろいろ細かいことが絡んでいて、それは他人には絶対わからないことでしょう。一つ言えるのは、一度こじれると、どんどん解決は難しくなるということ。
余計なことでケチをつけられてしまった『And Just Like That…』ですが、シャーロット役のクリスティン・デイヴィスは「テレグラフ」のインタビューで、サマンサ不在について「人のことは変えられない」とコメントしています。本当にそのとおりで、仮に他の女優と何かあったとしても、最終的に出ないと決めたのはキムですから、それを覆すことは誰にもできません。ですから、誰も責められる必要はないのです。「相手のことに首をつっこみすぎない」、クリスティンは個人として、またシャーロットと言う役を通して、「長く続く人間関係のコツ」を伝授してくれた気がします。