1990年代後半、国民的アイドルグループとして絶大な人気を誇ったSPEED。そのなかで上原多香子は「美人担当」などと呼ばれた。島袋寛子と今井絵理子が「ボーカル担当」で新垣仁絵が「ダンス担当」、これに対し上原は、ビジュアル要員として見られていたからだ。
そのビジュアルを活かし、女優としても活躍。2003年後期のNHK朝ドラ『てるてる家族』では、いしだあゆみの若いころを演じた。
とはいえ、ここ10年ほどは私生活での紆余曲折のほうが印象深い。'12年、ヒップホップグループのメンバーだったTENNと結婚したが、'14年に夫が自殺。その3年後、彼女と『花男』俳優・阿部力との不倫がその死に関係していたことが明かされた。
演出家と再婚もふたたび
TENNの血縁者が公開した遺書には、
「僕の分まで幸せになってください。(略)次は裏切ったらあかんよ」
などと綴られていたのだ。
その翌年、彼女は演出家のコウカズヤと再婚して、子どもも2人誕生。昨年には「美容家」への転身と地元・沖縄を拠点にすることを公表して、今はショップやインスタグラムで高級化粧品の紹介などをしている。
SPEEDの「美人担当」から「美容家」へという、自らの特性に合った選択は悪くない気がしたし、これで彼女も落ち着くのではと思われたが─。先日、こんな報道が飛び出した。
《「若い男性と親密な関係」「夫から手を出された」上原多香子が夫と警察沙汰で今井絵理子の実家に逃げ込んだ》(文春オンライン)
どうやらまた、不倫をしてしまったわけだ。もちろん、不倫を繰り返す人は一定数いるが、上原の場合、自らの不倫が引き金で最初の夫が亡くなるという経験をしている。にもかかわらず、またやってしまったのは、その痛みを「恋多き女」の業みたいなものが上回るからだろうか。
16歳のときには同じ事務所に所属するDA PUMPのISSAとの半同棲が発覚。事務所が交際を許したのは、それで彼女の遊びグセが収まるならと考えたから、とも報じられた。
自虐ネタも披露
なお、不倫を繰り返すといえば、斉藤由貴は2度目の不倫の際「本当に学ばない人間」「自分のことながら悲しい」などと語った。それでも3度目をやってしまったわけで、ある意味、ブレない人たちだともいえる。
上原にしても、最初の夫はショックで死を選び、今の夫は怒って暴力を振るった。つまり、タイプの違う男と結婚しても、結局不倫をしたわけだ。昨夏の舞台では、芸人のヒロシをまねて、
「タカコです……上原多香子、何してるの?って思った方。私も同じ思いです」
と、自らの迷走で笑いをとった。
ただ、彼女が並みの容姿だったらこうはならないだろう。今の夫は再婚する際、
《誰が何と言おうと、僕は妻と産まれてくる子供を守りたいと思っております!(略)他者からの攻撃が降りかかることがあれば全力で僕が盾になります!》
と、ツイッターで宣言。たとえ身から出た錆のようなかたちでも、美人が窮地にいればそれを悲劇のヒロインみたいに感じて入れ込み「守りたい」という男は必ずいる。美容家として美の道に生きようとしても、男が寄ってくるので、恋に走ってしまうというところもあるのではないか。「美人」の宿命と言ってしまえば、それまでだが。
そんなわけでこの人、20年30年たっても似たことを繰り返していそうな気がしてならない。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。