面接の約束を企業側の担当者が「忘れていた」なんてありえない失態だ。だが、そのミスをカバーするために家に押しかけて土下座までする人は稀だろう。茨城県に住む30代前半の男性が編集部の取材に応じ、そんな驚愕の採用担当者に出会った経験を語ってくれた。
それは4年前の夏のこと。男性はあるメーカーの機械部品の製造、品質管理の求人に応募した。約束の日に面接を受けに会社へ訪問したところ
「担当者が予定を忘れて出張していました。面接した方は、人事決定権の無い50代くらいの女性事務員でした」
というから驚きだ。
「採用担当の方が、自宅に来ました。約束もなしで夜中にいきなりです」
そもそも約束を忘れられていたことが問題だが、女性事務員とのやりとりはどんなものだったのだろうか。
「最初に工場内を案内されて、会社の概略説明などの話を聞いたくらいです。履歴書や職務経歴書などを出して志望動機などの質問をされることも無く終わりました」
と、やはり消化不良に終わっている。
その後、担当者からは「最終面接に進んでください」という連絡が入ったが、男性は
「予定を忘れてしまう面接官がいる会社とか、入社後面倒ごとに巻き込まれそうな予感しかありません。とても入社したいとは思えないので、辞退すると伝えました」
と、断ることにした。
ところが、それで先方は引き下がらなかった。約束をすっぽかした採用担当が男性の自宅に押しかけてきたという。
「約束もなしで夜中にいきなりです。最初に、面接の予定日に在席しておらず申し訳ございませんでしたと謝罪をした後、再度面接を行わせていただけませんでしょうかと玄関先で土下座されました」
尋常ではない事態だ。採用担当は40代くらいの男性で、「かなり痩せて、やつれている感じでした」と男性は語る。
「近所の迷惑なので警察呼びますよ?」と言うと……
しかし男性の気持ちは変わらなかった。
「その日は、その会社も含め数社面接を受けていて、その中でも好条件の企業から採用したい旨の話をもらっていました。なので、そもそもそれ以外の企業の内定は辞退するつもりでいたんです」
採用担当にとってはじつに間の悪い無駄骨だったのだ。男性は「今更、面接日を忘れる企業に入社する気など起きるわけもなく丁重にお断りしていました」と振り返る。
それでも相手はなかなか帰ろうとはせず、「最終面接を一回で済ませますのでどうか再度面接の機会を作っていただけないでしょうか」と食い下がってきたという。結局、
「近所の迷惑なので警察呼びますよ?と言ったら渋々帰って行きました」
とのことだった。あえなく退散となった採用担当者だが、土下座までするとは男性はよほどの希少人材だったのだろうか。男性に聞くと、この会社は大手メーカーと取引があるそこそこの企業だったが、いかんせん労働条件が悪かったという。
「求人票に記載されている年収や年間休日の日数が少ない、福利厚生も無し。そのため、募集しても人が集まりにくいのではと思いました」
そもそも最初の約束を忘れたのが悪かったわけだが、それほど忙しく疲弊していたということなのだろう。
※キャリコネニュースでは「面接での信じられないエピソード」をテーマにアンケートを実施しています。回答はこちらから https://questant.jp/q/74FZSHAJ