WRC世界ラリー選手権第8戦『ラリー・エストニア』が7月20日(木)に開幕した。競技初日のデイ1は、オープニングステージとしてスーパーSSが1本行われ、同ステージで2番手タイムを記録したTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が、総合トップに立った。
チームメイトで、ラリー・エストニア2連覇中のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は僅差の総合3番手。エストニアとフィンランドの“高速グラベル(未舗装路)ラリー2連戦”で3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をドライブする勝田貴元/アーロン・ジョンストン組も、総合5番手と上位につけている。
■SS1を制したタナクにペナルティ。順位が繰り上がる
2023年シーズン後半戦のオープニングイベントとなっている今大会。ラリー初日の20日(木)は、サービスパークが置かれるエストニア第2の都市タルトゥの南側エリアで午前中にシェイクダウンが行われ、全長4.08kmのグラベルステージではロバンペラがベストタイムを記録。ワークス登録ドライバーとしては今シーズン3回目の出場となる勝田が4番手タイムを、エバンスが5番手タイムをマークした。
現地時間18時30分からは市街地でセレモニアルスタートが実施され、その後陽が傾いた20時過ぎから、エストニア国立博物館の敷地内に展開するサービスパークのすぐ近くでスーパーSSが行われた。
このSS1は全長3.35kmのグラベルステージで争われ、Mスポーツ・フォードWRTに所属するエストニア人ドライバー、オット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)がベストタイムを記録。0.6秒差でエバンスと、ヒョンデのエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)が2番手タイムを分け合った。しかし、タナクはシェイクダウン後にエンジン交換を行なったことで5分間のペナルティを課せられたため、エバンスがラッピと同タイムで首位に立つことに。
また、ロバンペラはエバンスとわずか0.1秒差の総合3番手に、勝田は2.6秒差の総合5番手につけ、森林地帯での本格的な“ハイスピード・グラベルラリー”が始まるデイ2に駒を進めている。
「今夜、最初のステージで何のドラマもなくラリーをスタートすることができて良かった」と語るのは、TGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表。
「エルフィン(・エバンス)がラリーをリードしているが、タイム差は非常にわずかだ。我々は以前からエストニアでは好調だったし、このようなハイスピードなイベントは通常、我々のクルマにとても合っている。また、このラリーのためにエンジンをアップグレードしたので、それが高速セクションで助けになることを期待している」
ラトバラ代表は、木曜日に降った雨が、先頭スタートのロバンペラと2番手スタートとなるエバンスの助けになることを期待している。
「シェイクダウンでは、我々のクルマがうまく機能していることを確認できたので、ドライバーたちは自信を持ってラリーをスタートすることができた。今日は雨が降った。それにより森の中の道が湿った状態であり続ければ、カッレ(・ロバンペラ)とエルフィンは早い出走順による路面のクリーニングにそれほど悩まされることもなく、優勝争いに加わるチャンスを得られると思う」
そのデイ2は、サービスパークの北側と南側エリアで、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行する。計6つのSS走破後は南側のエリアに移動し、さらに1本のステージを走る予定となっている。SS2~8の合計距離は133.38km。これは競技2日目が今大会最長の一日になることを意味している。
■「明日からはきっと楽しい3日間になると思う」と勝田貴元
<TGR-WRTドライバー デイ1後コメント>
●カッレ・ロバンペラ(#69 トヨタGRヤリス・ラリー1)/デイ1総合3番手
「エストニアに戻ってくることができてうれしいよ。エストニアはとても好きなラリーだし、このような道や路面を走ることを楽しめているので、ポジティブな気持ちでラリーをスタートすることができた。今晩走行したタルトゥでの最初のステージはつねに面白く、非常にテクニカルでトリッキーな狭い道なのでわずかなミスも許されず、クリーンな走りに徹した」
「明日は滑りやすいグラベルに覆われたステージが多く、今大会最長のステージもあるため、自分たちにとっては非常に重要な一日になる。このような高速ラリーで遅れを取り戻すのは簡単ではないので、トップに近い位置につけられることを願っている」
「雨が少し降り続いているので、それが自分たちにとって助けになるかもしれないが、太陽が出ると路面は急速に乾くので、どうなるか様子を見たいと思う」
●エルフィン・エバンス(#33 トヨタGRヤリス・ラリー1)/デイ1総合首位
「このラリーを楽しみにしていた。ステージはここ数戦とは明らかに違うので、ハイスピードな道に素早く適応できることを願っている。今朝のシェイクダウンはいいフィーリングを得るための重要な機会だったので、セットアップをいくつか試していた」
「今晩最初のステージは他のステージとは大きく異なり、道幅が狭くてツイスティで、路肩には大きな石がたくさん並んでいた。そのため、ミスなくしっかりと走ることに専念したし、これで明日に向けて気持ちを切り替えることができる」
「エストニアの道は路面がかなり軟らかいため、ステージを1回目に走行する時と、2回目に走行する時ではコンディションが大きく変わるんだ。明日は出走順が2番手なので、午後の再走ステージでは路面の変化に驚くかもしれないね」
●勝田貴元(#18 トヨタGRヤリス・ラリー1)/デイ1総合5番手
「エストニアは好きなイベントのひとつなので、とても楽しみにしていました。シェイクダウンではクルマの動きがとても良く感じられたので、チームは素晴らしい準備をしてくれたのだと思います」
「このクルマでエストニアのステージを走ることに興奮していますし、明日からはきっと楽しい3日間になると思いますが、それと同時に大きなチャレンジにもなるでしょう」
「今晩最初のスーパーSSは道路脇に大きな石があって、もし当たってしまったら何が起こってもおかしくなかったですし、ラリーが簡単に終わってしまう可能性もあったので、とにかく確実に走り切りました。明日は重要な一日になると思うので、ハードにプッシュし、できる限り良い走りをしたいと思っています」