2023年の鈴鹿8時間耐久ロードレースも全50チームのエントリーが決まり、事前テストが7月5~6日に行われました。6月7~8日の合同テストにはエントリーしなかったフル参戦チームも登場した鈴鹿サーキットのパドックで見つけた「裏ネタ」を、『カメラマンから見た全日本ロード』でお馴染みの「Nob.I」がお届けします。
※ ※ ※ ※ ※ ※
鈴鹿8耐テストが終わって機材を片づけている最中に「何か記事書いて!」と編集部から無茶ぶりされ、「さて、困ったゾ」と頭を抱えたテスト明けです。私はカメラマンなんですが……
本戦前に掲載されるわけで、鈴鹿8耐を少しでも楽しく観戦してもらえればと、ロードレースとは大きく異なるピット周りに焦点を当て、その見所を紹介することにしました。
1ラップで1秒削るのは大変ですが、ピットワークは工夫次第でタイムが短縮できるのが鈴鹿8耐のキモではないでしょうか。
テスト走行にもかかわらず、ピットワークの練習を行うTeam HRCにはスキがありません。少ない機会も有効に活用する、勝利への執念に頭が下がります。今年も優勝候補ナンバーワンでしょう。
以下はテスト時の風景ですが、この写真で昨年との違いに気づいたあなたは鈴鹿8耐マニア間違いなし。
交換された前輪を受ける治具が変更されています。きっと、新しい治具の方が何かしら有利なのでしょう。
余談ですが、鈴鹿サーキットのピットレーンは、1コーナーに向かって下っています。きっと、このような状況も考慮した治具に違いありません。
また、前回のテストで編集部山口が掲載した、給油システムに関する記事(鈴鹿8耐テスト:『給油システムはどっちを採用?』『HRCのCBR1000RR-R』/パドックネタ)の通り、今シーズンの鈴鹿8耐に限り2口の給油口が使用できます。Team HRCは昨年同様、2口のようです。
給油担当の負荷を下げるためでしょうか。はたまた効率化のためでしょうか、給油タンク専用の治具があり、給油担当は給油タンクを平行移動させるだけで作業できるように工夫がされています。
以前、雑誌か何かで「給油作業は重労働のため、社内で体格の良い従業員を呼んできた」的な記事を読んだ記憶があります。
昨年の写真を見返してみたらこの治具が写っていたので、常用のようです。
ちなみに、年間エントリーしているF.C.C. TSR Honda Franceはストーブリ社の1口。
「少しでも早く満タンに」ということで、各メーカーはガソリンタンク内部の形状を工夫していたそうですが、ストーブリ社の1口に統一されてしまうとそのような競争はなくなってしまうのでしょうか?
イコールコンディション、という点では平等かもしれませんが、技術者の工夫がなくなってしまうのはちょっと寂しいですね。
尚、2口といえども、スズキの給油口は縦に並んでいました。(昨年のヨシムラSERT Motulも同様)
F.C.C. TSR Honda Franceのピット前に、珍しい治具が置かれていて「はて、何に使用するのか?」と疑問に思っていたら……
カウルハンガーでした(正式名称不明)。
耐久レースは選手をはじめチームスタッフは多く、スペマシンはもちろん、道具類も多いでしょう。
限られたスペースや時間を有効活用するために、各チーム工夫が見られ、スプリントとは違った見所があります。
ちなみに、Astemo Honda Dream SI Racingでは、ゼッケンをこんな感じで光らせているようです。
私も少し慣れてきたようで、いろいろと観察する余裕が出てきました。
今年の鈴鹿8耐は、各チームの様々な工夫を観察してみたいと思います。(と言いながら、本戦はおそらくテンパっているでしょう)
そうそう、ニッコロ・カネパ選手(YART YAMAHA OFFICIAL TEAM EWC)が、YouTubeに迫力ある映像(Suzuka 8 hours Onboard 2023 | Canepa YART Yamaha R1 Test)を投稿していますが、単純にGoProをヘルメットに取り付けているようです。ガムテープで固定しており、YARTとは思えないその簡易さに思わず笑ってしまいました。
ヘルメットの前面には、恋人『Anet』の文字が確認できます。アツアツです。
2019年のセパン8耐で優勝した時の写真を掲載するのはこのタイミングしかないッ!
急ごしらえとなってしまいましたが、楽しんでいただけましたか? 今年の鈴鹿8耐を少しでも楽しんでいただければ幸いです。
鈴鹿8耐まで1か月を切っています。楽しみである一方、不安に苛まれる日々が始まります。今年はどんなドラマが待っているのでしょうか……