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J性加害に“憶測”発言の山下達郎、過去に「芸能界のシステムに加担したくない」語っていた信念との矛盾

2023年07月12日 11:20  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

『硝子の少年』でデビューする前年のKinKiKids(1996年)

 7月1日、シンガー・ソングライターの山下達郎(70)が所属する音楽プロダクション「スマイルカンパニー」が音楽プロデューサーの松尾潔氏(55)との契約を6月末で解消したことが報じられた。松尾のTwitterによると、原因はジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川の性加害や現社長・藤島ジュリーの対応に関してメディアで言及したことだと主張。またスマイルカンパニーに誘った山下も会社方針に賛成していたことに遺憾の意を示した。

 これを受け、今月9日、山下達郎は自身のラジオ番組「山下達郎サンデー・ソングブック」(TOKYO FM)の放送回で騒動に言及した。

「ジャニーズ忖度を優先したのかな…」

《基本的に松尾さんとスマイルカンパニーの契約解除の話と達郎さんがジャニーズ事務所に対して忖度をしているという話が混在しており、すれ違いがおきていると思います。音楽業界の片隅にいる私に、ジャニーズ事務所の内部事情など全くあずかり知らぬことですし、まして性加害の事実について私が知るすべは全くありません》

 そうして、昨今の揺れる性加害問題について松尾氏の発言を「憶測に基づく一方的な批判」と触れる一幕も。また、放送回では、ジャニーズ事務所との出会いについても語った。堂本光一(44)、堂本剛(44)による2人組アイドルユニット「KinKi Kids」とのかかわりについても触れ、

《たくさんのジャニーズのライブに接することができたおかげで、KinKi Kidsとの出会いがあって、そこから『硝子の少年』という作品を書くことができて、昨年の『Amazing Love』まで、彼らとの絆はずっと続いております》

 そして最後に、ジャニーズファンだけでなく自身のファンをも突き放すように、こう付け加えた。

《このような私の姿勢を、忖度あるいは長いものに巻かれていると解釈されるのであればそれでも構いません。きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう》

 SNSでは、山下のコメントにショックを受けるKinKi Kidsファンが続出。失望の声があがっている。

「自分はファンクラブにも入ってるくらいにはKinKi Kidsファンなわけだけれども、昨日の山下達郎のラジオでのコメントはショック過ぎて複雑な思いを抱いたままずっと過ごしている。ほんとうに悲しい」

「山下氏は、KinKi Kidsなど、彼のいうところの“才能のある”メンバーが性加害を受けていないか気にならないのだろうか。今回の山下氏の発言で、むしろそういう被害者の声が潰される恐ろしさもあるのに何を考えているんだろう」

「山下達郎はジャニーさんとKinKi Kidsを作った側。音楽至上主義なのでしょう。私が勝手に山下達郎を人格者と錯覚してきたようだ。もう楽しめないし聞けない」

「いまだに印税が入ってくるだろうし当然、ジャニーズ忖度を優先したってことなのかな」

「芸能界のシステムには加担したくない」

 山下は、歌手の大貫妙子らと共にポップスバンド「シュガー・ベイブ」を結成し、アルバム『SONGS』(1975年)でデビュー。同時期に、『ジャニーズ・エンターテインメント』の取締役を務めたこともあるスマイルカンパニー元代表取締役社長の小杉理宇造氏と出会い、アイドル歌手への楽曲提供を開始した。1982年5月号『宝島』に掲載された 山下達郎のロングインタビュー記事によれば、

《もともと芸能界みたいのは嫌いだったし……。若いアイドルっているでしょ。でも、彼らも60、70まで生きてく人間なわけだよね。それを10代の前半から一日数時間の睡眠で働かして、何年かでその人生を消耗させてしまう、しかもそれで金をもうけていくっていう芸能界のシステムっていうのを僕は容認できないのね》

《今、プロデュースの仕事は沢山来るんだけれども、僕はアイドルのプロデュースはやらない。そういうシステムに加担したくないからね》

 と当時は若手アイドルの人生を狂わせかねない仕事に抵抗を示していたが……。のちにKinKi Kidsのデビュー・シングル「硝子の少年」(1997)や「ジェットコースター・ロマンス」(1998)など、数々のヒットソングを世に出しているのは周知の通り。なぜジャニーズという“アイドル少年”たちに楽曲提供をするようになったのか。

自社のスタジオがレインボーブリッジ竣工に伴い、取り壊しにあったこと、以前所属していたレコード会社とアルバムのアレンジについて諍いが生まれ、係争状態にあるなど、打撃を受け、一時は引退を考えた時期もありました。そんな折に、小杉理宇造氏から『KinKi Kidsのデビュー曲を書いてみないか』と打診があった」(レコード会社幹部)

 結果、『硝子の少年』は約180万枚の大ヒット。その後、ジャニーズへの楽曲提供が盛んになっていったのは誰の目にも明らかだ。

 2022年、山下はKinKi Kidsのデビュー25周年記念曲『Amazing Love』を作曲。同年の『紅白』にふたりが出演した際、歌唱前に山下からサプライズメッセージが発表された。

《KinKi Kidsのデビュー曲『硝子の少年』は、私が作曲を担当させていただきました。あれから25年、今年また『Amazing Love』を今度はお2人と共作できたことにより四半世紀をまたぐすばらしいマイルストーンを築くことができました。今夜の紅白で私たちの絆を確かめる幸せを味わいつつ、ますますのご活躍を》

 感極まったふたりは、山下が作曲した「硝子の少年」と「Amazing Love」を披露したのであった。

「そういう方々には私の音楽は不要」──深い絆を“壊しかねない”発言をした山下達郎。今後の展開はいかに。