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期待できそう? 特撮オタクがみた「ウルトラマンブレーザー」初回放送

2023年07月12日 06:20  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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子ども向けの特撮番組といえば、東映の仮面ライダー、スーパー戦隊、そして円谷プロダクションのウルトラマンが御三家として知られている。

とりわけ近年は円谷プロの海外における躍進が目立つ。元々55年前に放映されていた『ウルトラセブン』の時点で海外に輸出することを念頭に入れた画作りをしていたことはよく知られているが、サブスクサービスでの展開を始め、YouTubeチャンネルでは日本でのテレビシリーズ放送直後に、本編を複数の言語版をカバーした字幕設定つきで配信していた。

これにより、特にYouTubeでは外国からのコメントが目立つ。国外のファンの心を掴んでいるというのが、ここ数年の円谷プロなのである。そのウルトラマンシリーズの最新作、『ウルトラマンブレーザー』が7月8日にスタートした。

今日はこの作品の、第一話を経ての世間の反応と、いち特撮オタクとしての僕のどうでもいい感想を以下に書いていきたい。(文:松本ミゾレ)

野性味あふれる新しいスタイルのウルトラマン

8日放送の第1話「ファースト・ウェイブ」では、まず本作の世界観がナレーションではなく、作品の登場人物たちの行動やセリフで明かされていく。

難しい言葉はあまり使わず、メインターゲットである子供たちに理解出来る言葉を尽くして話の本筋を説明しており、合間合間に、怪獣の進攻を阻止するために作戦行動中の防衛部隊の専門的な用語が飛び交う。

この作品の舞台となる地球では、怪獣がこれまでにも何度も出現してきたという。防衛部隊があるので、そういった怪獣を既に撃退してきた経緯もある、ということになる。ところが冒頭から池袋で大暴れする怪獣は、これまで目撃されたことのなかった宇宙怪獣だ。

主人公のヒルマ・ゲント(演:蕨野友也)は特殊部隊を率いて、宇宙甲殻怪獣バザンガに挑む。だけど相手は宇宙から来た暴れん坊で特殊部隊も大苦戦。ゲントも命の危機に直面するが、その時彼の左腕に不思議なガジェットが出現し、強引にゲントの腕を操って、とうとうウルトラマンブレーザーに変身させてしまうのであった。

で、このブレーザーの挙動が何とも目新しい。ゲントの意思がどの程度この巨人に反映されてるのかについての言及はないが、仲間を守ろうとして大声を出してバザンガを威嚇したり、自分を鼓舞するように唸り声を出したり、やけに野性的な動きを見せるのだ。巻き舌で「ウラァァァァ!」という声を連発するので、どっちが怪獣か分からなくなってしまった(笑)

ブレーザーはこの野性的な戦い方で見事バザンガを制する。変身が解けたのち、ゲントは自分の掌の中に残されていた変身アイテムであるメダル(ブレーザーストーンと言うらしい)を不思議そうに見つめて、ひとまず終わった。

非常にシンプルで分かりやすいお話になっているし、何より面白いと感じた人も多かったのか、放映終了後。そして直ちにYouTubeで配信された動画をチェックした人たちがハッシュタグつきでつぶやくものだから、この日のTwitterで世界トレンドワードの1位となったのが「#ウルトラマンブレーザー」。

賛否色々あるんだけど、概ね「面白かった!」というポジティブな意見が目立っており、怪獣も、ウルトラマンも、主人公に対しても第一印象で好感を持つファンも多くいた様子だった。

あと、YouTubeで配信された第1話のコメント欄を見ると「なんとなくTwitter経由で観たけど面白かった」という声なんかもあり、割と普遍的に色んな人に刺さる第1話だった様子だ。

なお今作より円谷プロは、YouTubeで公開する本編動画に字幕だけでなく、わざわざ吹き替え版も用意するという心配りを見せている。現時点で英語吹き替え版が本編放送直後に公開されているが、他にも中国やタイなど、アジアの主要な国と地域の言語に対応した吹き替え版もある。

タイといえばかつては円谷プロが権利関係で苦い経験をした国であるので、そのタイでも新作が現地の言語で配信されるというのは、古くからの円谷を知る人にとっては衝撃が大きいかも。

「丁寧過ぎるが故のクドさ」もなくていい感じ

で、ここからは子供の頃から怪獣好きである僕個人の感想となる。放映開始前から第1話の怪獣がバザンガという宇宙からやってきたヤバい奴ということは知っていたが、実際に動いているところを見るととにかくかっこいい。

エビと魚が合体したようなデザインで、腕からショットガンみたいに光弾を連射する。そのうえ怒ると、普段は寝かせている触角が前を向くという、透明怪獣ネロンガのような習性を持っていた。こういうギミックがあることで生き物としての説得力が増すわけなので、非常に良い。うれしい。

そんなバザンガを、地上と上空からの二面作戦でどうにか追い詰めようとする防衛組織の奮闘っぷりも見ごたえがあった。ゲントの指揮する特殊部隊と、空挺部隊が無線で共同戦線を張るシーンもあるんだけど、お互いに怪獣撃滅という目的が合致しているので、変な軋轢もなく、組織としてクリーンで円滑という印象を受けた。双方のプライドが邪魔して云々……という描写がないのってストレスなくてうれしい。

で、肝心のゲントが変身させられちゃうブレーザーも、登場直後は一瞬自分の体の変化にうろたえていたが、頭の切り替えが早いのかすぐにラフファイトに移行。背後には負傷して動けない味方もいるため、どうにかして突破されないように相手の注意を引きながら戦う様子は、動きはちょっと変でもやっぱりウルトラマンなんだなぁと、妙に感動してしまった。

特撮もとにかく丁寧で、ここ最近チラついていた「丁寧過ぎるが故のクドさ」を感じなかったのも好印象。とにかく1話を観終わった後「これは次も観ないと損やで!」と思っちゃう特撮って久々に感じられた。あと、エンディングの曲もなんかかっこいい。

さて、僕は怪獣オタクなので、放送を観た後は宇宙甲殻怪獣バザンガのフィギュアが欲しくてたまらなくなった。なんでも、触角がちゃんと威嚇モードになるというのだから、もう居ても立ってもいられない。

そこですぐに近隣のおもちゃ売り場を回ったが、バザンガどころか変身グッズなんかも一通り狩られた後だった。放送直後の作品のグッズ人気が既に高いことを、思い知らされた。『ウルトラマンブレーザー』、めちゃくちゃ面白い作品になりそうな気がする。