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プールに出没する「迷惑客」マジやめて!ダイブ、逆走、バタフライ…怪我したら?

2023年07月09日 08:41  弁護士ドットコム

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暑い夏が始まり、プール開きをするレジャー施設もみられる。毎年かならず出現するのが、ルールやマナーを守らない「迷惑客」だ。


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東京都内在住のアオイさんは、突然飛び込んできた中学生とみられる少年と頭がぶつかったことがある。「『あっぶね』とだけ吐き捨てられました。しばらく頭が痛かった」



ネット上には「流れるプールの逆走マジやめて」「狭いのにバタフライするな。あたるし、ホンマ迷惑」などの声もあがっている。



監視員がすべてのトラブルを未然に防ぐことは至難の業だ。客の迷惑行為で怪我をした場合、どのように対応すべきだろうか。半田望弁護士に聞いた。



●「迷惑行為」でなくても賠償しなければならない場合も

ーー客の迷惑行為で怪我をした場合、どのような請求ができるでしょうか。



「迷惑行為」の有無に限らず、プール内での事故で怪我をした場合、相手方に故意・過失があれば、不法行為として治療費等の損害を賠償するよう求めることができます。施設管理上に瑕疵があった場合には、施設管理者にも責任が生じることもあります。



プールを利用する人はたくさんいますので、すべての利用者は、他の利用者と事故を起こさないようにすべき注意義務があるといえるでしょう。事故が起きた場合には、基本的に注意義務違反があったとして過失があると考えられます。



例外的に、加害者がどれだけ注意しても事故を避けられない場合には過失が否定されることもありえますが、通常は考えにくいと思われます。



●被害者側に「ルール違反」あれば、過失相殺される場合も

ーー「ただ泳いでいただけ」で事故が起きた場合も過失アリと判断されるのでしょうか。



他の利用者の存在を認識している以上、過失があるといえます。他に人がいなかったと誤認していたとしても、公共プールには、通常、不特定多数の利用者がいると考えるべきなので、過失を否定する理由にはならないでしょう。



プールの定めるルール(飛び込み禁止、逆走禁止、遊泳方法の指定など)は事故防止のためのものです。ルール違反をした場合に過失があると判断されることは当然として、次に述べる過失相殺の場面でも考慮されます。



一方、「一般的なマナー」は利用者相互が快適に利用するための「お願い」なので、違反があったとしても過失相殺で考慮されることは通常ありません。ただし、極めて悪質な場合には、別途不法行為となる可能性はあります。



ーー過失相殺とは、被害者にも「過失がある」と判断されることがあるのでしょうか。



被害者側にも注意義務がありますので、義務を怠った場合には過失相殺がなされることがあります。とはいえ、通常の利用をしているのであれば、過失ありと判断される可能性は小さいでしょう。



加害者側にルール違反がある場合には過失が極めて大きいとして、被害者側に若干の過失があっても、過失相殺されないことも考えられます。他方、被害者側にもルール違反があった場合には、相当の過失があるとして、かなりの割合での過失相殺がなされると思われます。



●加害者が未成年だったら?保護者に責任は…

ーープールには、未成年の利用者も複数います。加害者が未成年だった場合の対応はどうなるのでしょうか。



未成年であっても、一定の年齢(過去の裁判例をふまえると12歳程度)以上であれば不法行為責任を問われます。未成年者が責任を負わない年齢であった場合、親が未成年者の監督責任違反の責任を負います。



一般的には、未成年者には資力がないので、実際に治療費や慰謝料の賠償はできないでしょう。その場合に親の監督責任を問えるのかが問題となりますが、必ずしも責任があるとはいえません。中学生や高校生が保護者を同伴せずにプールで遊んでいて事故が起きた、という場合に親が監督責任を負うかというと、私個人としては消極的に考えます。




【取材協力弁護士】
半田 望(はんだ・のぞむ)弁護士
佐賀県小城市出身。主に交通事故や労働問題などの民事事件を取り扱うほか、日本弁護士連合会・接見交通権確立実行委員会の委員をつとめ、刑事弁護・接見交通の問題に力を入れている。また、地元大学で民事訴訟法の講義を担当するなど、各種講義、講演活動も積極的におこなっている。
事務所名:半田法律事務所
事務所URL:http://www.handa-law.jp/