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【寄稿】安倍氏銃撃事件から1年、山上被告人のおじが元弁護士として量刑を考える

2023年07月08日 13:11  弁護士ドットコム

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安倍晋三元首相が銃殺された事件から7月8日で1年となる。殺人罪等で起訴された山上徹也被告人の父親の兄である東一郎氏(78歳)は元弁護士だ。大阪で企業法務を中心に扱う法律事務所を経営していたが、病気や妻の死などがあり、68歳で仕事を退いた。


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そんな中で起きた甥っ子の事件。昨夏には「法曹3者で客観的に事実を評価し、適切に量刑を判断してほしい」と話していた。しかし、1月の起訴まで長期間の鑑定留置がされるなど異例の事態が続いたことに、疑問を感じざるをえなかった。今回、実名で法律家としての見解を弁護士ドットコムニュースに寄せた。



●検察の思惑に疑問

事件から早1年、世間はかしましくなっているが、事件を理解するには、まず単純に見る必要がある。しからば本件は「統一教会によって人生を狂わされた男が、教会にエールを送っていた男を射殺」しただけの事。



射殺した男が、いかに統一教会によって人生を狂わされたのか、射殺された男が、統一教会になぜエールを送っていたかを突き詰めれば足り、その問題の多くは既に調書に作成されてあり、いたずらに公判を引き延ばすべきではない。



(量刑について)
被害者1人に対する殺人罪の刑罰は、懲役20年、加算しても30年。または無罪もあり得る。



その選択は、裁判員・裁判官が正義感に基づいて行うものであり、法が先行するものではない。刑事事件に通じている友人の弁護士の言によると「本件で懲役25年以上の判決なら弁護人の不出来。裁判員裁判の量刑は20年が判例の相場」だという。



現に、2022年10月に大阪・カラオケパブのオーナー女性が客に殺されたとされる事件で大阪地裁は懲役20年を言い渡した(高裁で審理中)。



パブの女性と元首相との間に差を設けるのは法の下の平等に反する。



女性の場合、何の落ち度もない理不尽な事件だった。元首相の場合、統一教会にエールを送っていたのである。



統一教会の宗教2世が元首相のエールを見て、「悲しくて悔しくて涙が止まらなかった」と言っていた。これがすべてである。



(罪名について)
検察は殺人罪のほかに4つの罪名を追加しているが、その意図は殺人罪だけでは20年を超えて科刑できないためではないか。



すなわち、殺人と銃刀法違反罪は、法律上牽連(けんれん)犯なので一罪である。銃を使ったことは殺人の手段にすぎないということだ。



検察は火薬類取締法違反と武器等製造法違反を併合罪として加算を目論んでいると見える。しかしながら、いずれも殺人予備罪で、殺人を含めて一罪である。(試し撃ちをしたとされる)建造物損壊罪も含めて5罪は社会通念上、一罪と考えることもできるのではないだろうか。