7月5~6日、三重県・鈴鹿サーキットで2023年の鈴鹿8時間耐久ロードレースに向けた鈴鹿サーキット主催 合同テスト 1回目が行われた。FIM世界耐久選手権(EWC)フル参戦のBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(以下:BMWモトラッド)も来日してレギュラーライダー3人が走行。8月に迎える本戦に向けてマシンやタイヤをテストした。
2022年のスパ24時間で2勝目を飾り、初めて24時間レースを制覇したBMWモトラッド。今季これまで開催された第1戦ル・マン24時間と第2戦スパ24時間では、連続で3位表彰台を獲得しており、現在ランキングも3位につけている。
今年からBMW M1000RRの新型マシンを投入しているが、大きなトラブルもなくチームとしては好調を維持している。今回のテストで、鈴鹿に来たのは約1年ぶりとなり、マーカス・ライターベルガー、イルヤ・ミハルチク、ジェレミー・ガルノニのレギュラー陣3名が2台のマシンを走らせた。
昨年の鈴鹿8耐ではレース半分の時点で、冷却回路エリアでのエンジントラブルによりリタイアを喫している。まず、それについてライターベルガーが振り返った。
「鈴鹿はコースがあまりにも違っていて、昨年はタイヤ(の種類)も違っていたので苦労したよ。でもラップタイムは良かったし、ペースも少しは上がっていたけど、昨年はエンジントラブルに見舞われて決勝はリタイアしたよね」
「今年はもう少し苦戦しているよ。新しいバイクは昨年ほどフィッティングしていないし、多くのタイヤをテストした。ベストなタイヤがない状態でも、トンネルの先にわずかな光を見つけることができた」
BMWモトラッドは、ダンロップタイヤのテストチームでもあり、今回のテストでもダンロップUKのタイヤを使用。新型M1000RRはもちろん、タイヤも鈴鹿サーキットに合わせるために走行を繰り返した。
表彰台争いをするチームが2分07~08秒台で周回を重ねるなか、BMWモトラッドはドライでは2分09秒749、初日のウエットでは2分28秒459がベストタイムだった。
ガルノニは「(初日は)ドライで1セッションしか走っていないけど、昨年のレースペースと同じタイムで走れているから、つまりバイクとタイヤは良いよね」と語った。昨年の決勝中のベストタイムが2分09秒887であるため、上位勢には一歩及ばないが、着実に前進をしていたことが伺える。
また、初日のヘビーレインのなかを走っていたガルノニは「雨でも走行したけど、鈴鹿でのウエットタイヤはとても良かったよ。正確な違いは分からないけど、感触は本当に良かった。もちろん、現時点では日本のトップチームと戦える可能性はないけど、僕たちは鍛える必要があり、それがテストを行う理由だよ」ともコメントした。
続けて、ライターベルガーは「レースウイークからマシンをもっと良くしていかなければならないね。ラップタイムとペースには苦労しているから。コーナリング中のグリップをもっと向上させる必要がある」と説明して、現実的な目標についてこう述べた。
「通常、ヨーロッパの24時間レースでは表彰台や勝利を目指して戦っているけど、現実を見ないといけないよね。もちろん、ここ鈴鹿でも(表彰台獲得は)決して不可能ではないけど、正直、トップ10に入れば僕たちにとっては良い結果と言えると思う」
「確かに僕たちはそれを望んでいるし、もっと必要としている。現実的になって、最善を尽くさなければならないね。レースに向けて改善できることを願っているよ」
約1カ月後の8月6日に2023年鈴鹿8耐の決勝レースが開催されるが、レースウイーク直前の2日に2回目の合同テストが行われる。予選は4日と5日に2度に分けて行われるため、本番前にもセッティングを詰めることは可能だろう。
今季のEWCは全4戦で、24時間レースが3回、8時間レースが1度の構成だ。スプリント要素の強い鈴鹿8耐では毎年、日本と鈴鹿を良く知るチームとブリヂストンタイヤ勢が強いが、BMWモトラッドも新型マシンと今回テストして改良するであろうダンロップタイヤで上位を走ることも期待できそうだ。