今年結成50年を迎えたTHE ALFEE(桜井賢・坂崎幸之助・高見沢俊彦)の春の全国コンサートツアー『THE ALFEE 2023 Spring Genesis of New World 風の時代』が7月2日名古屋センチュリーホールにて最終日を迎えた。コロナ禍以降、ようやく声出し解禁になった同ツアー。テックインサイトでは5月28日開催のNHKホール(東京・渋谷)を取材した。同ホールでのTHE ALFEEのコンサートは春ツアーの恒例だったが、コロナ禍でのツアー中止や同ホールの耐震工事のため実に2019年5月以来となる。
本編最後に演奏したのは『鋼の騎士Q』。同曲は『Never Say Die』とともにダブルAサイドシングルとして5月17日にリリースされたが、オリコン週間シングルランキングで初週売上2位にランクインしたことが、ファンに感謝の気持ちを込めて報告された。THE ALFEEはシングルで57作連続トップ10入りの記録を更新中だ。ちょうど前夜に最終回を迎えたフジテレビ系連続ドラマ『グランマの憂鬱』の主題歌でもあったが、前日に同ホールで行われたコンサートにはグランマ(主演の萬田久子さん)が来場していたとのこと。ケルティックサウンドを取り入れたイントロが流れ、3人のバックに6つのトーチが半円を描くように灯ると、中世ヨーロッパの雰囲気を醸し出し、一瞬にして物語の世界に誘う。桜井賢が艷やかで伸びのある力強い歌声を聴かせる。先日インタビューしたときに「ありがたいことに新曲をコンサートで聴くのを楽しみにしているファンが多い」という話を聞いた。同曲もきっとその一曲だろう。
ファンのアンコールに応えて再登場した3人は、アメリカのバンド「Three Dog Night」が歌った『It's For You』(1968年)をカバーして唯一無二のコーラスを聴かせると、『挽歌』(1981年)へ。さらに結成50年のTHE ALFEEを祝うために駆けつけたというアイドルグループ「またさきトリオ」(3人の名前をあわせたグループ名を付けた3人が扮した架空のグループ)が登場して、コントを繰り広げる。コロナ禍で声が出せなかった頃はインタビューで笑い声が聞こえないのは寂しいと言っていた3人。そんな客席から今夜はどっと笑い声が起こる。『危険なリンゴ』(1974年。デビュー曲『夏しぐれ』のカップリングナンバー)をアイドルスタイルで披露するのも彼らのサービス精神からだろう。
そしてこのツアーで最後を飾った曲は『SEE YOU AGAIN』(1982年)。印象的なアコースティックギターのフレーズから始まる同曲は、近年では夏のイベントなどアリーナ会場で演奏されることが多かったナンバーだ。サビの「See You Again」をファンが何度も歌い、メンバーが「もっとみんなの声を聞きたい」というように耳に手を当てると、客席の歌声が一層大きくなる。先日のインタビューで、久しぶりの声援に感動し「鳥肌が立った」と話していた高見沢。このときもきっとファンの歌声を噛み締めていたに違いない。