2023年07月06日 10:41 弁護士ドットコム
友人と旅行に出かけた大学生・ケンタさん。ところが、点検等をしていたにもかかわらず、旅先で車のウインカー(方向指示器)が壊れてしまいました。
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アクセルやブレーキといった自走機能に問題はなく、ヘッドランプやブレーキランプ、テールランプ等も機能しました。ケンタさんは教習所で習った「手信号」を思い出し、友人と共に運転席と助手席から手信号を出して走行。高速道路も利用しながら、県をまたいだ修理先までたどり着きました。
帰宅後、いわゆる「玉切れ(方向指示器が点灯しなくなる状態)」で取り締まられた人の投稿を見て、道交法違反に当たるのかと不安になってきました。鬼沢健士弁護士に聞きました。
ーー道路交通法53条には「手、方向指示器又は灯火により合図をし」とされていますが、「修理のため」なら、手での合図だけで都道府県を越える移動をしてもいいのでしょうか?
合図の方法は、道交法施行令21条において詳しく定められています。この中にもちろん方向指示器(ウインカー)の操作は規定されていますが、手(腕)を出す方法についても規定されています。つまり、手による合図はウインカーと同様、正式に認められたものです。
ですから、ウインカー修理のためであるかどうかを問わず、手による合図で移動することは可能ですし、都道府県を越えることにも問題はありません。高速道路上であっても同様です。
手信号せずに進路を変えた場合は「合図不履行違反」として、5万円以下の罰金(道交法120条1項6号)が科せられるおそれがあるほか、違反点数1点、反則金6000円(普通車)の行政処分の可能性があります。
もっとも、このケースではウインカー(方向指示器)が故障しているので、そのままでいることは、故障している車両を運転し続けることになります。
さきほど手信号は「合図として認められた方法」と言いました。手による合図が可能だとしても、方向指示器が故障したままの必要以上の運転は禁止されており、整備不良車両運転の禁止(道交法62条)にあたることがあるのでご注意ください。
日常点検は運転者の義務なので、故障していることに気がつかなかったという言い分は通用しません。安全運転につとめましょう。
【取材協力弁護士】
鬼沢 健士(おにざわ・たけし)弁護士
詐欺サイト(出会い系、支援金、サクラサイト)・副業詐欺被害救済、交通事故、労働問題、を取り扱う。
事務所名:じょうばん法律事務所
事務所URL:http://www.jobanlaw.com/