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ダイエットの「新常識」をプロのパーソナルトレーナーが明かす 第2回 ダイエットの成功は「栄養成分の表示内容を読み取る力」が大切

2023年07月04日 06:41  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
前回はカロリーとは何なのか、どのように付き合えば良いかをお伝えしましたが、今回はその表示の意味や、引っかかりやすい罠、そしてどのような食品を選んでいけばダイエットが成功するのかについてお話ししたいと思います。

○栄養成分表



まずはこちらの食品の栄養成分表示を見てみましょう。


今では裏面を見れば必ずと言っていいほど栄養成分表示が記載されています。これは新たな食品表示制度が施行されてから、栄養成分表示が義務化されたため。



また、表示義務のある5項目は記載順が決まっており、必ず「熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウム(食塩相当量換算)」となっています。



そもそもこの食品表示に関する法律は、消費者が健康でバランスの取れた食生活が送れるようにと制定されたものです。



つまり、国をあげてダイエットのしやすい環境づくりがされ始めているということ。表示が全てではありませんが、原材料名もきちんと重量順に記載されているので、売る側の責任が果たされていれば、買う側にも責任があると言うことです。



もちろん食品は個体差もあるので、栄養成分も100%正確な数値は導き出せません。そのため上記5項目に関しては±20%の誤差も許されています。



誤差の範囲が広いということは、私たちはこれらを正確な数字として受け止めるのではなく、ダイエットツールの一つとして活用することが大切です。

○栄養成分表の罠



しかし、この表示にはさらなる罠があります。



写真の栄養成分表示の下に書かれた「推定値」というキーワード。他にも同様のワードとしては「この表示値は、目安です。」といったものがありますが、実はこれがなかなかの厄介者。



前述した通り、表示には誤差が認められているのですが、上記のような文言が記載されていた場合、分析値との結果が一致しない可能性があることを示します。



つまり、誤差の範囲は無制限。もちろん算出の根拠となる資料やデータの保管は義務付けられていますが、誤差が大きいことを疑って調査されるということは、今の日本では考えられないでしょう。

誤差は生じるものの、あくまで目安だと私たち消費者も改めて肝に銘じておく必要があります。



そんな目安のカロリーでも、ダイエットにおいては「消費カロリー>摂取カロリー」が鉄則ともよく言われます。前述の誤差はもちろん、体内でどのように代謝されているかはわからないので、どちらも正しい数値を測ることはできません。



食べているのに痩せる人、食べていないのに太る人。もちろん様々な原因が考えられますが、「消費カロリー>摂取カロリー」だけでは説明がつかないことも分かります。



大切なことは何が書かれているかということではなく、そこから何が読み取れるか。その力を養うことこそが、二度と失敗しないダイエットへの近道になります。



では実際にどのように読み解けばいいのか、次の二つの商品で比べてみたいと思います。


「キリ クリーミーポーション」も「サラダクラブ もち麦ミックス(3種豆とキヌアと黒米入り)※以下、もち麦ミックス」もカロリーはほとんど同じですが、食品としては大きな差があります。



どのような商品か分かるようにはなっていますが、原材料と栄養成分表示からのみ読み取れるところを解説したいと思います。



まず前者の原材料の多くは乳由来。栄養価も脂質量が最も多いので動物性脂肪をメインにした食材ということが読み取れます。



後者は炭水化物が最も高く、植物由来の原材料のみ。炭水化物は糖質+食物繊維の総称なので、植物性原料が多いということは、食物繊維の含有比が高いということにもつながります。



たんぱく質、脂質、炭水化物の総量は後者が2倍あるにもかかわらず、重量は半分。つまり、ある程度水分も含んだ食品であるということ。



重量あたりのエネルギー量(カロリー密度)が低く、ビタミンミネラルなどの栄養素が含まれる比率(N/Cレート)の高い食品を選ぶことがこれからのダイエットの新常識。



どちらがダイエットに向いているかは日々の食事内容にも起因しますが、加工工程が少なく、食材そのものが持つ栄養価も多く残っており、さらに普段から不足しやすい栄養を多く含むのはもち麦ミックス。



このような選び方ができるようになれば、表示カロリーだけに縛られずストレスが少なく、結果の大きいダイエットに辿り着くことができるでしょう。



KENTA プロレスラーに憧れ14歳からウエイトトレーニングを始め、学生時代はレスリングに熱中。一度就職するも、夢をあきらめきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。しかし、練習中の怪我によりデビューを断念する大きな挫折を味わう。その立ち直るきっかけとなったトレーニング(フィットネス)の魅力を伝えるためにトレーナーの道へ。現在はパーソナルトレーナーだけでなく、食事指導や執筆、モデルなど多方面で活動中。公式ホームページ「林健太|マルチフィットネストレーナー」 この著者の記事一覧はこちら(KENTA)