全国展開している企業では、本社面接が遠方で行われることもある。例えば名古屋~東京間は新幹線だと往復で2万円以上になるため、当日キャンセルは非常識でしかない。しかし、愛知県に住む40代後半の男性(事務・管理/正社員・職員/年収650万円)は転職活動中にそんな信じられない対応をされたという。当時のやり取りはどんなものだったのか。編集部では男性に詳しく話を聞いた。
2019年、大手ディスカウントショップ本部の労務管理職に応募した男性は、11時30分スタートの面接を受けるため新幹線で愛知から東京都内にある本社へと向かっていた。しかし、9時30分過ぎに新横浜駅に着いた頃のこと。転職エージェントから電話が入り「面接官が体調不良になったので、今日の面接は中止にします」との連絡があった。
面接の約束まで2時間もない時刻でのドタキャンだった。男性は先方企業に
「新幹線に乗って面接に来ているのに、面接時間直前に突然言われても困ります」
「私が愛知から(新幹線に乗って)来ることは当然知っているはずですし、なぜもっと早く連絡をくれないのですか?体調不良は仕方ないとしても、もっと早く連絡できるでしょう?」
と申し入れたが、まったく聞き入れてもらえなかった。納得できず、
「それなら新幹線代だけでも返してください。それぐらいは配慮してください」
とエージェントを通じて求めたのだが……。
「そんな理不尽な対応する会社には何も魅力は感じません」
企業の担当者から「検討するのでしばらくお待ちください」と言われ、そのまま新横浜駅で待つことになった。ところが、返事が来たのはなんと2時間後の11時30分頃。しかも「別の面接官を手配したので、今から本社まで来てください」という勝手すぎる連絡だった。
「交通費を返してくださいという内容なのにもかかわらず、2時間も待たされたあげく、別の面接官を手配したって。それなら最初から別の面接官を手配すれば良かったんじゃないですか?」
「そんな理不尽な対応する会社には何も魅力は感じません。とにかく交通費を返してください」
こう再度交通費の負担を求めた男性だったが、驚くことに先方企業は
「当社はあなたのために面接官を手配しました。それを断るのであれば、あなたの都合で面接を辞退したということになるので、交通費を出すことはしません」
と勝手な理屈で拒否を貫いてきた。男性はその日の夕方にもう1社愛知県で面接の予定があり、東京で面接が終わり次第、帰る必要があったという。これ以上相手の都合に振り回されるわけには行かなかった。
「最初に面接キャンセルをしたのは先方企業ですし、予定よりも数時間も遅れて面接を設定したなんて言われても、そこに納得感なんてのは微塵も感じることはできません。大企業ではありますが、やってることは非常識であり、上から目線のこの対応に幻滅しました」
結局、無駄になった新幹線代は転職エージェントが負担してくれたという。「でもこのお金は転職エージェントの完全な持ち出しであるので、某企業は最後まで何もしていません。お金と時間を無駄にした、嫌な思いしかしない1日でした」と憤りをあらわにしていた。
「おそらく人に関するトラブルが多く発生している」
男性は新幹線で出てきたのに面接を受けなかった理由を再度、次のように説明した。
「2時間も待たせたあげく、上から目線で対応されたのが気に入りませんでした。お詫び一つもなかったのが、一番許せなかったですね」
「私も人事の仕事をしています。人事って、その会社で最初に接する方なんです。その人事の対応を見れば会社の社風というのがだいたいわかります。この会社は社員だけでなく、お客様も大切にしない会社なんだろうなと思いました」
「選考に落ちた方は、例えばお客さまになる可能性もあるし、ひょっとしたら取引先の担当者になるかもしれないし。人と人とのご縁というのは、いつどこで繋がるかわかりません。だから最低な対応をとれば、それは巡り巡って自社に必ず跳ね返ってくると思うんです」
こうしたことがわからない人事、または会社は、「おそらく人に関するトラブルが多く発生している」と指摘する。「お客様からのクレーム、短期退職、離職率が高い、ハラスメント系、社内不正などですね」と例を挙げ、
「だから私は人事として、どんな応募者であっても丁寧に対応することを心がけて仕事をしております」
と自身の仕事に対する姿勢を示した。
「この会社は私の仕事に対する思いとは完全に真逆のことをしているわけで、心の底から軽蔑いたしました。後にも先にも、こんな対応された会社はこの会社だけですね。経営層は、人事がこういう対応をしているのを知っているのかな? ぜひ、経営層に知ってもらいたいですね」
この出来事があってから、この会社のお店は利用したことがないという。いまだ忘れられない様子で詳細を語った男性。面接を受ける前に企業の姿勢に気付くことが出来て、不幸中の幸いだったかもしれない。
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