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岩佐歩夢、作戦的中で16番手から2位表彰台。フェルシュフォーが今季初優勝【FIA F2第8戦レース2】

2023年07月02日 18:00  AUTOSPORT web

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2023年FIA F2第8戦シュピールベルク 決勝レース2表彰式
 7月2日、2023年FIA F2第8戦のフィーチャーレース(決勝レース2)が、オーストリアのレッドブルリンクで開催され、11番手スタートのリチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)が今季初優勝を飾った。16番手スタートの岩佐歩夢(ダムス/レッドブル&ホンダ育成)は、2位表彰台を獲得した。

 第8戦決勝レース2のグリッドは6月30日に行われた予選結果順となり、最速タイムをマークしたビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)がポールポジションを獲得。2番グリッドにランキングトップのフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)、3番グリッドにランキング2位のテオ・プルシェール(ARTグランプリ/メルセデス育成)、4番グリッドにクッシュ・マイニ(カンポス・レーシング)が続いた。

 今回のタイヤコンパウンドはソフト(プライム/レッド)とスーパーソフト(オプション/パープル)となるなか上位勢はオプションタイヤを装着。

 一方、7番手スタートのアーサー・ルクレール(ダムス/フェラーリ育成)を筆頭に、9番手スタートのエンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン/レッドブル育成)、11番手スタートのフェルシュフォー、16番手スタートの岩佐らはプライムタイヤでのスタートを選択した。

 2日のレッドブルリンクは青空の広がる快晴に恵まれ、直前の計測で気温16.8度、路面温度25.1度のドライコンディションとなるなか、タイヤ交換義務を有する周回数40周(60分+1周)の決勝レース2は、現地時間9時55分(日本時間16時55分)にフォーメーションラップを迎えた。

 スタートで抜群の蹴り出しを見せたベスティがターン1のホールショットを奪うと、2番手にプルシェール、3番手にマルタンス、4番手にマイニというオーダーに変わった。なお、オープニングラップで岩佐は5つポジションを上げて、ポイント圏内目前の11番手で2周目を迎えている。

 一方、2周目にはマイニが4番手、5番手スタートのジャック・ドゥーハン(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング)が3番手に浮上。ポールスタートのマルタンスは2周で4ポジションダウンと苦戦。対してラップリーダーのベスティはファステストを更新し、後続とのギャップを広げにかかる。

 6周目、デニス・ハウガー(MPモータースポーツ)とアムーリ・コルデール(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング)のサイド・バイ・サイドのバトルの間隙をついた岩佐がターン2で2台まとめてかわし9番手に浮上する。そんななか、8周目には2番手プルシェール、マイニ、9周目にドゥーハン、マルタンス、10周目に首位のベスティがピットインするなど、オプションタイヤスタート勢のラップタイムダウンが顕著に見られる状況に。

 これで、プライムタイヤスタートのステイ組が上位に浮上し、12周目時点でフィッティパルディがトップ、2番手フェルシュフォー、3番手岩佐、4番手ルクレールというオーダーに。一方、タイヤ交換組トップのベスティがこの周にステイ組より1秒から2秒はやい1分17~18秒台で周回を続ける。

 見た目上トップのフィッティパルディから岩佐までは3.5秒以内と僅差でレースは折り返しとなる20週目を迎えた。この時点で4番手につけるルクレールだったが、毎周岩佐に0.5秒ほど引き離され、岩佐との間に7秒近いギャップが開いてしまう。

 フィッティパルディは20周目に自己ベストを更新し、ベスティとのギャップを確保にかかるが、この時点で2台の差は15.6秒。タイヤ交換組トップのベスティは23周目に異なる戦略を選択したチームメイトのオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)をパスし5番手に浮上、続いて26周目のターン3でルクレールをパスし、ベスティがいよいよ岩佐の背後に接近。

 そんな中、岩佐の1秒前を走るフェルシュフォーに対し、トラックリミット違反による5秒のタイムペナルティが下された。

 26周目にルクレール、27周目に岩佐がピットイン。ただ、ルクレールはアウトラップ際、ターン4でマシンから右リヤタイヤが外れ、マシンを止めることに。そのタイミングで岩佐は9番手でコース復帰。そのコース復帰直後にバーチャル・セーフティカー(VSC)導入となる。

 VSCからSCに切り替えられ、29周目にフェルシュフォー、30周目にフィッティパルディがそれぞれピットイン。なお、フェルシュフォーはこのタイミングで5秒のタイムペナルティを消化したようだ。フィッティパルディはピットインを1周遅らせた影響でフェルシュフォーらの先行を許す結果となる。

 また、マイニ、ダルバラが2度目のピットストップを敢行。これでベスティ、ドゥーハン、プルシェール、マルタンス、フェルシュフォー、6番手岩佐というオーダーとなり、レースは33周目に再開を迎えた。ここから、フェルシュフォーと岩佐によるオーバーテイクショーが幕をあける。

 タイヤがフレッシュなフェルシュフォーはリスタートのターン1で、そして岩佐もターン2でマルタンスをパス。フェルシュフォーはさらにセクター2でプルシェールを攻略。岩佐も34周目のターン1でプルシェールをかわし4番手に浮上する。

 オプションタイヤの強みを存分に活かして猛追を見せるフェルシュフォーと岩佐はトップ2台にも接近。そんな中35周目にマイ二がターン2でマシンを止め、2度目のVSC導入となるも36周目に解除された。

 37周目、岩佐はこのレースのファステストラップとなる1分17秒575をマークして、トップ3台との間合いを詰め4台が数珠繋ぎとなると、38周目のターン4でドゥーハンを攻略したフェルシュフォーが2番手、岩佐が3番手に浮上する。

 残り2周となった39周目、ターン3立ち上がりでフェルシュフォーがベスティをパス。さらに岩佐もターン5でアウトからベスティを大胆なオーバーテイクでかわし2番手に浮上。これでトップがフェルシュフォー、2番手岩佐の順でファイナルラップに突入する。

 DRSが使える岩佐はターン4、ターン5で仕掛けサイド・バイ・サイドとなるも、フェルシュフォーとはタイヤコンディションがほぼ互角ということもあり、ポジションチェンジには至らず。

 オランダ人のフェルシュフォーが今季初優勝で自身通算3勝目を飾った。そしてオランダのチームであるファン・アメルスフォールト・レーシングにとってはFIA F2参戦以来初の勝利となり、レッドブルリンクに駆けつけた“オレンジアーミー”も歓喜の雄叫びを上げた。岩佐はレッドブルの地元で2位を獲得、3位にベスティという結果となった。

 ファステスト獲得によるポイントも含め岩佐の獲得ポイントは101点となり、ベスティに24点差、プルシェールに4点差と、ランキング上位2名とのポイント差を縮めることに成功した。

 2023年のFIA F2、次戦となる第9戦は7月7日~7月9日にイギリスのシルバーストン・サーキットで開催される。次戦も手に汗握る戦いが繰り広げられるに違いない。

■2023年FIA F2第8戦シュピールベルク
決勝レース2正式結果
Pos.No.DriverTeamTime/Gap122R.フェルシュフォーファン・アメルスフォールト・レーシング56'31.050211岩佐歩夢ダムス0.41537F.ベスティプレマ・レーシング1.921414J.ドゥーハンインビクタ・ビルトゥジ・レーシング2.22258O.ベアマンプレマ・レーシング2.86064E.フィッティパルディロダン・カーリン3.14775T.プルシェールARTグランプリ6.71489J.クロフォードハイテック・パルスエイト7.34896V.マルタンスARTグランプリ7.971102J.ダルバラMPモータースポーツ9.343111D.ハウガーMPモータースポーツ9.5821210I.ハジャルハイテック・パルスエイト9.9151321C.ノバラックトライデント11.5941425R.ボシュングカンポス・レーシング13.020153Z.マロニーロダン・カーリン14.6221616R.ニッサニーPHMレーシング・バイ・チャロウズ15.0541715A.コルデールインビクタ・ビルトゥジ・レーシング17.3551823J.コレアファン・アメルスフォールト・レーシング17.7401917B.ベナビデスPHMレーシング・バイ・チャロウズ20.467-24K.マイニカンポス・レーシングDNF-12A.ルクレールダムスDNF-20R.スタネトライデントDNF
・ペナルティ
Car.17&Car.24:5秒タイムペナルティ/トラックリミット違反