Text by CINRA編集部
MAPPA初のオリジナル劇場アニメ作品『アリスとテレスのまぼろし工場』の主題歌に中島みゆきの新曲“心音(しんおん)”が起用されることが発表された。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などの脚本を手掛け、『さよならの朝に約束の花をかざろう』で監督デビューした岡田麿里が監督を務めた『アリスとテレスのまぼろし工場』は、製鉄所の爆発事故により全ての出口を失い、時も止まってしまった町で中学3年生の少年が2人の少女と出会い、世界の均衡を崩していく物語。声優陣に榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲が名を連ねる。ワーナー・ブラザース映画とMAPPAの共同配給で9月15日に公開。
“心音(しんおん)”は中島みゆきにとって初のアニメーション映画書き下ろし曲。44作目のオリジナルアルバム『世界が違ってみえる日』のCDジャケットの撮影をしているころに岡田から主題歌の依頼が届き、台本に惹かれて楽曲制作を決めたという。
【中島みゆきのコメント】
ゲームもアニメもさっぱりわからない中島に、御注文をくださるとは、なんでなの?と謎な気持ちで、届いた台本をおそるおそる読み始め、最後まで読み終わらないうちに、どっぷり、岡田麿里様のしもべとなっておりました。
岡田麿里様は、中島の絶大なる「推し」です!
スタジオで初めて岡田麿里様にお目にかかった日は、ただもう中島は物陰から、じぃっとお姿を拝見するばかり。
一瞬だけ駆け寄って「この台本、好きです!」と言うのが 精一杯でした。まるで中学生の片想いレベルです。
【岡田麿里監督のコメント】
『アリスとテレスのまぼろし工場』の主題歌が完成したとご連絡があり、スタジオにお伺いしました。
期待で前夜は眠れなかったうえに、その場にみゆきさんがいらっしゃったことで興奮と緊張は限界に達し、挙動不審かつドライマウスの私に歌詞の紙が渡されました。
そこには、『心音(しんおん)』と書かれていました。
『心音(しんおん)』が流れてきた瞬間、正面から、強い風がぶわっと吹いた気がしました。
風にあおられて、緊張だけでなく、スタジオの景色がすべて吹っ飛んでいきました。
そして、この物語の主人公である正宗と五実、睦実の姿が見えました。
彼らはしんと冷たい世界の中で、腹の底から叫び、走っていました。
2023年6月現在、『まぼろし工場』の制作は順調です……とは正直、言えません。
映画の内容と同じく、さまざまな困難にぶちあたり、倒れそうになることもあります。
でも、そのたびに『心音(しんおん)』がどんどんと心臓を叩いてくれ、蘇生させられています。
みゆきさん、瀬尾さん(*中島みゆき音楽プロデューサー)をはじめとした『心音(しんおん)』チームの皆さん。
この素晴らしい主題歌が流れる、エンディングを迎えるために。『まぼろし工場』とアニメスタッフは最後まで駆け抜けていきます。本当にありがとうございました。
©新見伏製鐵保存会