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マルケス、前半戦は決勝で完走なし。レプソル・ホンダ、ランキング最下位。ホンダの現状を招いた原因は/第8戦オランダGP

2023年06月28日 06:10  AUTOSPORT web

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オランダGP決勝レースを欠場したマルケス。今季、決勝レースは一度も完走していない
 ホンダが、開幕戦から第8戦オランダGPまで苦しいままMotoGP 2023年シーズン前半戦を締めくくった。決勝レースを一度も完走できず、怪我を重ねるマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は“将来”をどう考えているのか。そしてホンダは今、解決の糸口を見出しつつあるのだろうか。

 オランダGPでは、ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)とアレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)が怪我により欠場した。ドイツGPのウオームアップで転倒し、決勝レースを欠場したマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は金曜日から走行を実施。しかし、決勝日の朝に欠場が発表された。レギュラーライダーとしては、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)だけがオランダGPの決勝レースを戦ったのだった。

 オランダGPの日曜日12時には、TT・サーキット・アッセンのホンダのホスピタリティで、マルケスの囲み取材が行われ、マルケスが欠場の理由を説明した。

「火曜日、マドリードでメディカルチェックを受けたときには問題なかった。足首と指は折れていたけど、肋骨はひびが入っているのか完全に折れているのかわかりにくいことがある。彼らは小さなひびが入っていると考えた」

「でも、木曜日に言ったと思うけど、肋骨に少し痛みを感じていた。金曜日には悪化して、昨日のスプリントレースのあと、もっとひどくなった。特に夜8時、9時あたりから、痛みがどんどん増していったんだ。昨日は寝られなかったよ」

「レースに出ないと決めたのはそのときだ。朝起きてすぐにメディカルセンターに行って、『今日は走れない』と言った。彼らはもう一度、肋骨を検査してくれた。そうしたら折れていたんだ。たった2ミリ、骨がずれているだけだとしてもね」

■マルケスの2024年
 転倒による怪我が続くマルケスは、前半戦の第8戦までに決勝レースを走ったのはポルトガルGP、フランスGP、イタリアGPの3度のみで、そのどのレースでも完走していないという、信じがたい状況だ。

 最近はマルケスの「将来」について──そこにはHRCと契約している2024年も含まれている──の質問が度々あり、このときも「将来の選択」について質問が及んだ。マルケスは「今、こういう状況にいるときにそれを考えることはできない」と答えたが、同時にこうも答えている。

「僕はファイターだ。どんな状況でも攻めようとするだろう。場所や色、名前、ポジションは関係ない。常に自分の最大の力でプッシュし続けるよ」

 マルケスの囲み取材の前には、レプソル・ホンダ・チームのチームマネージャー、アルベルト・プーチ氏の囲み取材が行われたのだが、このときプーチ氏は、マルクが来年(2024年)もホンダにいると確信しているか? と問われ、こう回答していた。

「そうですね、契約がありますから。ただ、この質問については、その人生でしたいことをするのは各人の自由だと考えている、と言わなければならないでしょう。そしてホンダは、ホンダにいることがハッピーではない人を抱えていたくない会社です。もちろん、私たちはマルクと契約していますが、ホンダはマルクをとても尊重しています。契約を考えれば(その質問には)『イエス』と考えたいですが、私たちは『魔法の杖』を持っているわけではありません」

 この言葉は、2024年までの契約があるとはいえ、もしマルケスが移籍するならばその決断を尊重するだろう、という意味にも読み取れるが……。

■プーチ氏「問題の解決策は見つかっていない」
 2023年シーズン前半戦を終え、ホンダはコンストラクターズランキングで4番手、チームランキングでは、LCRホンダが8番手。そしてレプソル・ホンダ・チームは、最下位の11番手という位置にいる。

 プーチ氏が「最近直面している問題は、一朝一夕で変えられるとは思えません。私たちが直年している問題は、今年だけではなく、過去数年にわたってあったもの、というのが実際のところです。まだ明確な解決策を見つけられていない、ということははっきりしています。努力をしていないわけではありませんが、解決には至っていません」と述べていることから、おそらくはホンダとしても2023年シーズン中に劇的な状況改善は難しいと考えているのだろう。

「過去を振り返ると、2020年にコロナがあり、マルクの怪我がありました。そこから坂を転がり落ちていきました」と、プーチ氏はこの状況を招いたターニングポイントについて振り返る。元をたどればいきつくのは2020年だったが、もちろん問題はシンプルではない。

「マルクの状況は、ライダーの怪我という観点からとても複雑なものでした。しかし会社という観点では、エンジニアが日本とヨーロッパを行き来するのが大変だったのです。彼らはヨーロッパに滞在しなければならず、以前のようにバイクを開発できませんでした。多くの情報を交換できず、日本に戻ることもできなかったのです」

「ある日、コンマ2秒を失い、翌日にはコンマ4秒、その次に1秒……。現在の状況は、様々な問題が重なった結果なのです」

 ホンダが改善を重ねていくのは、いつになるのだろうか。