チームWRTは先週、2024年のWEC世界耐久選手権におけるファクトリー・ハイパーカー・プログラムに先駆けて、BMW MハイブリッドV8による初のテストを実施した。
『BMW MチームWRT』として参戦する予定のベルギーのチームWRTは、スペインのモーターランド・アラゴンでの3日間のテストを「問題なく」完了。複数のファクトリー・ドライバーがLMDhプロトタイプのステアリングを握った。
シェルドン・ファン・デル・リンデ、ドリス・ファントール、イェッセ・クローン、マキシム・マルタンが最初の3日間のセッションに参加した後、マックス・ヘスとダン・ハーパーが週末に走行距離をさらに伸ばした。このテストでは、夜間やウエットコンディションでの走行も行われた。
■「IMSAで積み重ねてきた経験も貢献」
BMWのファクトリー・ハイパーカープログラムへの取り組みは、2023年にIMSAで1シーズン先行して始まっている。2024年にWECへとそのプログラムを拡大するBMWは、ポルシェ、キャデラックに次いで、両シリーズへエントリーする3番目のメーカーとなる。また、2024年はBMWが最後にル・マンで総合優勝を収めてから25周年という節目の年にもなる。
今回のチームWRTのテストは、ダラーラシャシーをベースとするBMWのLMDhマシンにとって10カ月ぶりのヨーロッパでのサーキット走行を意味する。前回のテスト後、プログラムの焦点は、今年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権におけるBMW MチームRLLの参戦準備へ移っていたからだ。
WRTのチーム代表であるヴァンサン・ボッセは、MハイブリッドV8を使用した初のテストを「画期的なできごと」であると表現した。
LMDhとGT3をカバーするWRTとBMWとのパートナーシップは、WRTが取り組んでいたアウディLMDhプロジェクトの中止を受けて昨年結ばれたものだ。
「これは大きなステップであり、このために我々全員が懸命に取り組んできた」とボッセは振り返る。
「チームにとって画期的なことだ。ル・マンに出ることはチームにとって常に目標だったが、BMWのようなメーカーを代表してトップカテゴリーでル・マンに出ることは、夢のようだ。我々の背後には、最高のマニュファクチャラーがいてくれると感じる」
「そして、チームという最高の仲間がいる。彼らはクルマを作り、準備するために素晴らしい仕事をしてくれた」
「ロールアウトもうまくいったし、テストでは何の問題もなく、いいフィードバックも得られた。2024年シーズンに向けての重要な第一歩となった。私は2024年を楽しみにしているし、これに関わってくれた人々にありがとうと言いたい」
今回のWRTの最初のテストで使用されたBMWは、5月下旬にBMWのディンゴルフィングの施設で、ニック・イェロリーによってシェイクダウンされたものだ。WRTの初走行は当初5月に行われる予定だったが、ル・マン24時間レースが終了するまで延期されていた。そのル・マンで、チームはLMP2の表彰台を獲得している。
BMW Mモータースポーツ・ディレクターのアンドレアス・ルースは、「この1週間は、WEC準備プログラムにとって非常に良いスタートとなった」と述べている。
「BMW Mハイブリッド V8は、最初のテスト走行でスムーズに走行し、エンジニアとチームに開始直後から豊富な知見を得る機会を与えてくれた」
「ミュンヘンのBMW MモータースポーツとBMW MチームWRTの皆に感謝したい。もちろん、IMSAでBMW Mチーム RLLとともに積み重ねてきた経験も、貢献している」
「LMDhプログラム開始にあたり、我々はまずIMSAのみに参戦し、その後にWECに参戦することを意図的に選択した。我々はいま、このアプローチから利益を得ている」
「WECプログラムのスタートは成功したが、最初のレースに向けてやるべきことはまだたくさんある。我々は皆、今年の残りの仕事に対して、高いモチベーションを保っている」