学力があっても経済的な問題など事情があって進学できない人もいる。大阪府の30代男性はそうした事情を顧みない面接官から
「この学歴社会の世の中で、中卒で生きていけると思ってるの?」
と笑いながら言われた経験があるという。あまりに失礼な発言に反撃の一言を放ったというが、そこまで言い返したくなるほどの面接とは一体どんなものだったのか。キャリコネニュースに投稿を寄せた男性に、当時の状況について詳しく話を聞いた。
「お父さんかお母さんが浮気して出ていったの?」
男性は中学三年の受験時に、家庭の事情で高校進学をしなかった。中学卒業後、初めて受けたアルバイトの面接は「大手レンタルビデオ店の新店舗での店長候補、及びスタッフ募集」だったという。
面接官は3人で、人事部の部長である40前後と見られる男性と、同じく人事部の20代後半くらいの女性、そのエリアを取り仕切る統括で40代前半ぐらいの男性だった。
この人事部長について男性は「コイツがクズでした」と吐き捨てるように語る。というのも、この人物は進学しなかった家庭の事情について、
「お父さんかお母さんが浮気して出ていったの?」
などと失礼過ぎる質問をぶつけてきたのだ。「他にも多々チクリチクリと失礼な事を聞かれましたが耐えていました」と当時の悔しさを語る。極め付けは履歴書の経歴欄を見て
「この学歴社会の世の中で、中卒で生きていけると思ってるの?」
と笑いながら言ってきた。中卒がダメなら面接に呼ばなければいいだけの話で、人を侮辱したいだけの質問だろう。さすがに統括が注意してくれたものの、人事部長は態度を改めることはなく笑い続けたという。
その様子を見て冷めた男性は
「良い大学を出ても貴方のような人間のクズみたいになるんですね」
と言い放った。驚いたのは人事部長だ。
「最初はポカンとしてましたが、怒りが込み上げたのか大声を出し掴みかかろうとしてきて、統括の方が注意してくれました」
「その日の事は、20年近く経った今もハッキリと覚えています」
言い返した瞬間の心境を「家族の事まで言われて頭にきていたところに中卒の話題が来たので反撃しました」と明かしている。
ただ、反撃したからといって心は晴れたわけでなかった。
「帰り道で負けた訳ではないのに行き場のない虚しさに泣きました。その日の事は、20年近く経った今もハッキリと覚えています」
こう当時の悲しみを語る男性。その後はどんなキャリアを歩んだのだろうか。
「その後は事情を説明し知人の親が経営する建築会社に事務員として雇ってもらいました。昨年末に社長が亡くなり会社もたたむ事になり、現在は社長さんの伝手で他の同業者の所にお世話になっております」
語り口から誠実な人柄がうかがえる。順調に別の職場に移れたのも、人となりと仕事ぶりが認められた証だろう。