トップへ

田中美佐子や香坂みゆき、熊谷真実も 60代で離婚する女性が増加中「今はガマンが美徳とは誰も思わない」

2023年06月24日 17:10  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

写真左から熊谷真実、香坂みゆき、田中美佐子

 最近、急増しているのが20年以上連れ添った夫婦が別れる熟年離婚。厚生労働省によると2020年には離婚した夫婦のうち、21.5%が当てはまり、過去最高に。「子どもが独立すると身軽になって妻から切り出すケースは多い。金銭面と体力に余裕があるなら、60代でも躊躇しません」と離婚の専門家。人生後半からの再出発を「吉」とするための準備と心がまえとは―。

離婚して新しい人生に向かいたいと考えるのは自然

「ここに至るまで、私たちにはとても長い年月がかかりました」

 6月7日、田中美佐子が自身のインスタグラムで深沢邦之(56)との離婚を発表した。28年前、深沢が田中の付き人となったことから交際がスタート。

 “収入格差100倍婚”ともいわれるなか、'02年に田中は43歳で長女を出産。仲睦まじく子育てをする様子も伝えられたが、一方で深沢のテレビ露出は次第に減少。“格差”が埋まらないなか、今年、娘が成人を迎えたことで夫婦関係にひと区切りをつけたのではと報じられた。

 芸能界きってのおしどり夫婦といわれていた元タレントの清水圭(61)と香坂みゆきの離婚が報じられたのは5月17日。香坂は'97年に長男、'02年に次男を出産。

 お笑い芸人だった清水は、関西ではレギュラー番組を複数抱える売れっ子だったが、時流に乗れずいつしかテレビではあまり見かけないようになった。昨年4月には自身のブログで芸能界からの引退を宣言。一方の香坂は情報番組でのMCや歌手活動の再開と活躍の場を広げている。

 先月、自身のインスタグラムで大胆なミニスカート姿を披露し、「どんどん若くなっている」「セクシーすぎ」と話題となったのは、熊谷真実

 2021年に、18歳年下の夫と離婚を発表。現在は移住先の静岡で農業を楽しみつつ、63歳で歌にも挑戦しディナーショーも開催するなど、年を感じさせないアクティブさは増すばかりだ。

「今の60代の女性って、見た目も内面も若々しい方が増えましたよね。特に芸能界で活躍しているタレントや女優さんたちは、周りから“まだまだ若いですね”と言われる機会も多い。“まだまだ若い”なら、うまくいかない結婚でくすぶっているより、離婚して新しい人生に向かいたい、と考えるのは自然なこと。行動的で魅力的な熟年女性が増えてくると、離婚率が上がるのは自然のなりゆきだと思います

 そう話すのは、夫婦問題研究家でパートナーシップアドバイザーの岡野あつこさん。

「とはいえ、中高年からの離婚は、やっぱり大変なんです。長く生活してきたことにまつわる人間関係やらお金のしがらみが多い。エネルギーを奪われすぎて、途中で挫折してしまうこともあります。それでも離婚をおすすめするのは2つのケース。まずひとつは夫が長年の妻の内助の功を認めていない場合です」(岡野さん、以下同)

 専業主婦として家庭を支えてきた妻への感謝の気持ちがなく、自分が大黒柱であるという主張だけは強い。妻を認めないばかりか長年にわたってモラハラしているケースも。

今の60代女性は自分の母親が耐える姿を見てきています。夫に対してガマンするのが日常的、と思っている最後の世代なのです。でも、男女関係も時代とともに変わってきていて、ガマンが美徳とは誰も思わない。自分の子どもに“お母さん、もうお父さんと一緒にいなくていいよ”と言われて、離婚を決意する人もいます」

 そして、もうひとつのケースは「お金をひとり占めする夫」と岡野さん。

「家計がいつも苦しい、パートナーがお金を渡してくれないという場合は、離婚することによって、預貯金が手に入るんです。2007年には年金分割が認められました。ふたりで築いた財産や年金を半分もらって、新しい人生を切り開いたほうがお得な場合は離婚一択、です

慰謝料は200万から300万円が限度

 夫の退職金の分与が期待できるなら、退職の半年ほど前から弁護士に相談するなど準備を。

退職金が入った途端、下ろして使ってしまわれたケースもあります。使われてしまってからでは取り戻せません

 離婚に詳しい原口未緒弁護士によると、妻側が離婚時に期待する慰謝料については、あまりあてにできないという。

モラハラを受けていたぐらいだと証拠にはなりにくい。不倫や身体的暴力など、夫側にはっきりとした責任があったとしても、取れるのは200万から300万円が限度です

 ただし、離婚が成立するまでの生活費は、別居している場合に受け取ることができるという。金額は家庭裁判所が示している算定表などをもとにして決められるので、しっかり請求をしたい。

 損をしない離婚を成立させるためにどのような見極めが大事なのだろうか。

まずは経済的な自立が可能かシミュレーションしてみてください。老後資金はいくら必要なのか、足りない場合は、子どもに面倒を見てもらえるのか。離婚後の暮らしを想像してみないと、覚悟が決まらないと思います。お金もなく頼れる人もいなかったら、こんなはずでは、となってしまう。

 離婚したら離れていく友達もいます。若ければ“この人が嫌”っていう理由だけでも離婚できますが、シニアになってからでは、自分の命までも縮めてしまうことにも」

 夫婦でいたころよりもつつましい生活ができる覚悟がないと、熟年離婚は難しい。離婚をしても心が豊かに暮らせる覚悟があるかどうかが決断の決め手だ

岡野さんが今まで相談を受けた「60代妻の離婚」

ケース1・A子さん(専業主婦・60歳)

 A子さんは結婚30年目。高校3年生になる息子が来年、大学に入学して家を出るので会社員の夫(62歳)に離婚を切り出した。

「夫はリモートワークで在宅時間が増加、モラハラが多く一緒に過ごすのが限界でした」。

 夫の預貯金は少なく財産分与も期待できなかったが、A子さん自身が親から相続した財産があり、シングルとしての生活のめども立ったため、離婚が成立。

ケース2・B子さん(専門職・63歳)

 正社員として長らく勤め、個人資産を3000万円以上所有していたB子さん。しかし、法律上は夫婦が結婚している間の財産は共有財産とみなされるため、離婚する場合は夫(62歳)と分与しなければならない。

 夫の財産は隠されてしまっているため、離婚しても分与は望めない。自分が損をするくらいなら……と長年、離婚を諦めていた。しかし「60代、お互いの人生を有意義にするため」と夫を説得、お互いの財産を分割する形で円満離婚をした。

ケース3・C子さん(専業主婦・63歳)

 子育ても終了、40年以上連れ添った夫(65歳)は、起業に成功し財産もある。このまま、夫が亡くなったあとの遺産相続を待とうと考えていたが、夫には20年以上付き合っている愛人がいることが判明。愛人に財産を取られる前に、早く財産を分与してもらって離婚しようと決意した。

 夫からもらっている生活費を貯めて老後資金にすることや、子どもが会社を引き継いだときに、自分を役員にしてもらって報酬を受け取れるようにするなど、岡野さんからの離婚に向けたアドバイスを粛々と実行中。

岡野あつこさん 公認心理師。33年前に離婚相談室を設立、相談件数は4万以上。離婚カウンセラー養成講座で後進育成。㊙テクニックを交えた的確なアドバイスが好評。近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』。