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飲食店に「漬物と梅干し」を持ち込む「迷惑客」がまた来た! 出入り禁止にしていい?

2023年06月24日 10:01  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

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飲食店に漬物や梅干しなどの食べ物を勝手に持ち込んでいる客に対して、店が苦慮しているという相談が弁護士ドットコムに寄せられました。


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店としては、万が一、食中毒などが起きた際に原因がわからなくなることもあり、客に対して「持ち込みは困る」と伝えているにもかかわらず、その客は「わかったよ、ごめんね」と謝りながら、その後も来店しているそうです。



このような「持ち込み行為」を理由に、出入り禁止にすることは可能でしょうか。大橋賢也弁護士に聞きました。



●店側には「施設管理権」がある

——飲食店が客に注文した品以外を飲食しないよう求めることは法的に可能ですか。



飲食店その他の店舗の管理者には、「施設管理権」というものがあります。施設管理権とは、施設の管理者が、当該施設を包括的に管理する権利権限のことをいいます。



そのため、飲食店の店主が、客に対し、店外から持ち込んだものを店内で飲食しないように求める、あるいはそのことをルールとして定めることは、施設管理権の行使として、当然に認められます。



——ルールとして定めている場合、あらかじめ客側に明示していないといけないのでしょうか。



一般論としては、トラブル防止の観点から、施設管理権の内容は、ホームページ等において明示することが望ましいと考えます。たとえば、大勢の観客が観戦するプロスポーツなどでは、規約や規程等で禁止行為を明記しています。



もっとも、すべての施設管理者が、施設管理権の内容を対外的に明示しているわけではありません。小さな飲食店などでは、仮に施設管理権に基づくルールを作っていたとしても、客に明示しているところは少ないのではないでしょうか。



そこで、一般的な飲食店では、当該ルールの内容が特殊なものであり、不意打ち防止の観点から客に明示しておく必要があると思われる例外的なもの以外は、あえて対外的に明示する必要はないと思います。



●施設管理権に基づき、退店を求めることができる

——注文した品以外を飲食しないよう求めるルールについてはどうでしょうか。



飲食店で、店内で食べるための物を持ち込まないというのは当然のことなので、あえて客に明示する必要まではないと思います。



——ルールとして決めていない場合でも、注文した品以外を飲食しないよう客に求めることは可能なのでしょうか。



たとえ事前にルールを決めていなかったり、決めてはいたものの客側に示していなかった場合でも、客が、持ち込んだものを食べ始めたら、施設管理権に基づきそれをやめるよう求めることができます。



このことは、飲食店が、食べ物を作って客に出すだけではなく、他の客が居心地良く飲食する場を提供するところであるという、その場の性質にも合致します。



——やめるよう求めても拒否された場合、どのような対応が可能なのでしょうか。



客が、施設管理者の要求を拒否した場合、施設管理者は、施設管理権に基づき、客に退店を求めることもできます。



●再び来店しても、料理の提供を断って問題ない

——出入り禁止を告げたにもかかわらず、再び来店している場合、料理の提供を断っても問題ないでしょうか。



飲食店は、施設管理権を根拠として、料理の提供契約を締結するか否かを判断する自由を有していると考えます。



したがって、飲食店が注意をしても、それを無視して、外から持ち込んだ食べ物を店内で食べる客に対し、料理の提供契約を締結しないと意思表示をすること(料理の提供を断ること)は問題ないと考えます。




【取材協力弁護士】
大橋 賢也(おおはし・けんや)弁護士
神奈川県立湘南高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。平成18年弁護士登録。神奈川県弁護士会所属。離婚、相続、成年後見、債務整理、交通事故等、幅広い案件を扱う。一人一人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して、川崎エスト法律事務所を開設。趣味はマラソン。
事務所名:川崎エスト法律事務所
事務所URL:http://kawasakiest.com/