かつては30兆円産業とも言われたパチンコ業界も、このところはじり貧になっている。それこそ今年は、大手のサミーが発売した『スマスロ北斗の拳』が大ヒットしているものの、その他のメーカーに関しては特に主だった好評機種をリリースできてはいない。
パチンコ業界は不景気がささやかれるようになってから、メーカーとホールはお互い、認識に食い違いもあるように見受けられる。
メーカーとしては台を甘く使って欲しい、回るようにして、設定も入れてほしい。そうしないで客が飛ぶのはホールのせいと考える。対してホールは、メーカーの新台価格が高騰し過ぎており、導入するのも負担が増え、釘を締め、設定を渋くせざるを得ない。出ない、回らないのはメーカーのせいと考える。
置いてけぼりなのはエンドユーザーだ。メーカーとホールの思惑なんか関係なく、ただただ出ないし回らない台を「はぁ?」とかいいながら首をひねりながら打つ。(文:松本ミゾレ)
8割のユーザーが「回らない」と実感
さて、パチンコ業界の大手メーカーの一つに平和という企業がある。平和、オリンピア、アムテックなど名義が異なるラインでパチンコ、パチスロ機種を比較的高い頻度でリリースしている会社だ。昔は割とストイックな作りの機種を多く出していたし、去年亡くなったアントニオ猪木を題材とした機種を出したメーカーとして認知度も高い。
近年のリリース傾向は萌え系の台が割と多くなっており、そういう台が好きなオタク系のユーザーには愛されている。この平和が先日、Twitterアカウント上で「パチンコ・パチスロに関する遊技動向アンケート結果」なるものを公開していた。
回答数は1949件。正直やや少ないサンプルだとは思うけど、結果自体は興味深いものだった。というか、かなり正確に、エンドユーザーの本音が反映されている。アンケートではパチンコ・パチスロで良いと感じる部分、不満な部分を質問。まあ良いと感じる部分なんて正直どうでもいい。肝心なのは残り僅かなユーザーが、どういった部分に不満を感じているか、というところである。
「パチンコで不満を感じる部分」は1位が「回らない」で80.9%、2位は「本体やボタンなどの演出が派手すぎる」(44.9%)だった。3位以降は「当たっても直ぐに連荘が終わる」(40.3%)、「投資スピードが速すぎる」(37.2%)となっている。
パチスロの不満1位も「当たっても出玉が無い、少ない」
「回らない」が最多だったが、釘が渋く、1玉4円の貴重な銀玉が全然チャッカーに入ってくれず、目の前で物凄い無駄遣いをしている様を見せつけられる。これに嫌な思いをしない人なんかいない。
僕も以前、千葉県の超人気ホールで打ったときに、500円で1回しかチャッカーに玉が入らず「さすがに回りムラだろう」ともう500円使ったら、今度は1回も入賞しなかった、ということがあった。そして、こういうことを書くと「いや、うちの近所のホールはもっと回らない」という声が必ず上がるものだ。
一方、「パチスロで不満を感じる部分」で一番多かったのは「当たっても出玉が無い(少ない)事が多い」で45.5%。2位以降は「投資金額が多すぎる」(42.4%)、「投資スピードが速すぎる」(37.4%)となっている。
パチンコも単発引いたら同じようなものだけど、パチンコよりも爆発しにくいスペックばかりの現在のパチスロでは、天井までハマって50枚しか獲得できなかったというようなこともザラ。出玉率は設定依存なので、低設定ばかりのホールで打っているとそういう目にも遭いやすい。不満を抱えるユーザーも少なくないのだろう。
冒頭で書いたように、メーカーは甘く使わないホールに。ホールは導入費用が高く、機歴なんぞを持ち込んでくるメーカーに頭を抱えているという側面はある。商売なので、どちらも引くに引けないところだろう。
平和がこのアンケート結果を発表した真意は不明だが、個人的には全国のホールに対してもっと甘く使ってくれないとダメだよ、と訴えているようにも感じられる。でも普段からユーザーに下から突き上げられ、クレームもバンバン喰らってるのはホールだよね。
Googleでパチンコホールのレビューを見れば、日本全国どこを見ても、大体厳しい評価を受けている。ホールはホールで大変なんだろうな、とも理解できるところだ。
結局お客が負けないことにはホールもメーカーも共倒れ。お客の血を吸うならもうちょっと痒みを感じさせずに吸うべき。だけど、この不景気下ではお客が干からびそうになっている。
だましだまし、延命、延命でやってるしかないのか。お客もまた、だましだまし、「次こそ取り返せそう」精神で打ちに来てる感はあるし。
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