第70回を数える2023年の『サファリ・ラリー・ケニア』は波乱の幕開けとなった。6月21日に行われたWRC世界ラリー選手権第7戦ケニアのシェイクダウンでは、ヒョンデのエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)が駆動系トラブルに見舞われ1走目にストップ。これに加えて同セッションを6番手で終えた勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)が3回目の走行で転倒し、マシンに大きなダメージを負うこととなった。
デイ1前日の水曜日に実施されたテストセッションでのロールについて、前戦に引き続き今大会もTOYOTA GAZOO Racing WRT(TGR-WRT)の4台目のマシンをドライブする勝田は「とても驚いた」と語った。
日本人唯一のWRCフル参戦ドライバーである勝田は、19年ぶりの“復活開催”となったサファリ・ラリー・ケニアの2021年大会で2位表彰台を獲得し、昨季2022年も3位フィニッシュを飾ったことから、今大会では3年連続となるポディウム獲得に期待が寄せられている。
■1回目、2回目の走行では何も起こらなかった
そんな勝田は全長4.50kmのテストステージで行われたシェイクダウンで2度の走行を無事に終えたが、最後のランでGRヤリス・ラリー1が激しくコンプレッションした直後、“バレルロール”に見舞われた。コドライバーのアーロン・ジョンストンとともに無傷でクルマを降りた勝田は、このアクシデントを次のように振り返った。
「小さなジャンプの後、右のヘアピンに向けてブレーキングしていました。コーナーのイン側に小さな段差があり、(そこに差し掛かった瞬間)すぐにクルマが転がり始めたんです」
「基本的にブレーキングしているときはダンパーが完全に吸収されているため、その時点で遊びがなくなっています。つまり、このようなバンプを避けるためのサスペンション・トラベルがなく、すぐにクルマがロールし始めてしまいました」
「正直に言って、最初の2回(のシェイクダウン走行)では何も起こらなかったこともあり、3回目の走行でそれが起こったことに非常に驚いています」
マシンが横方向に2回転するアクシデントの後、勝田/ジョンストン組のトヨタGRヤリス・ラリー1はボディに大きなダメージを負った。しかし幸いなことにロールケージに損傷はなく、トヨタのメカニックによる懸命な修復作業を経て、同ペアは木曜日のデイ1からラリーをスタートすることが可能となっている。
「(アクシデントは)僕のミスです。そのせいでチームの皆を忙しくさせてしまいました。彼らには本当に感謝しています」と勝田。
「(クルマの状態は)とても悪く見えましたが、エンジニアが言うにはボディパネルよりも内側のダメージはそれほど酷くなく、ロールケージも大丈夫とのことです。明日以降もラリーを続けられそうです」
■Katsuta Rolls in Shakedown! | WRC Safari Rally Kenya 2023
https://youtu.be/LCvflU3vZtw